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｢ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン！｣
ヴィーナスとプルートも重力に従って落ちていく中で
ヴィーナスは技のチェーンを崖の上へと伸ばし
プルートの手を引いたまま、何とか持ち堪える。
｢はぁ‥。あははは！どう？結果オーライってね！｣
｢どうしてこんな無茶を！｣
｢仲間を見捨てて逃げられると思う？リーダーとして命令！
共に力を合わせてプリンセスを奪回するべし！｣
｢！んふふふふ｣
明るいヴィーナスにプルートも笑い、
2人の笑い合う声に、また1つ笑う声が混ざり合う…。
｢アハハハハハ！｣
｢｢！！｣｣
その声はネヘレニアの笑い声。
チェーンが伸びる先に立つ黒い影。
ネヘレニアはヴィーナスのチェーンを片手で持ち、
そして2人の命綱であるチェーンから手を離す。
｢｢きゃあぁぁぁぁぁ｣｣
支えを無くした2人は重力には逆らえず
谷底へと落ちる中で鏡に囚われてしまう。
｢そう、白き月の王女とて妾の悪夢には勝てぬのだ。
だがこのまま楽にはさせぬ。
いたぶっていたぶっていたぶり抜いて
妾が受けた屈辱がどれ程のものだったかを
たっぷり教えてやる…｣
光を無くした瞳でいるうさぎの傍でネヘレニアは佇む。
そして、憎しみを顕にした瞳でうさぎを見下ろし、
己の爪で八つ裂きにしようと腕を振り上げた。
…………
うさぎに迫ろうとする爪が止まる。
それはネヘレニアの腕を掴み、止めるジュピター。
そして、いつの間にかうさぎを庇うように立つサンがいた。
｢なにっ！｣
｢うさぎちゃんには、指1本触れさせないよ｣
｢漸く見つけたわ、ネヘレニア｣
｢貴様ら！｣
ジュピターの手を振り払い、襲いかかるネヘレニアだが
ジュピターはネヘレニアの勢いをそのままに腕を掴むと
上空へと投げ飛ばし、距離を取る。
サンはうさぎが悪夢に囚われているのに気付き、
肩を掴み、揺らしながら声を掛け続けていた。
｢うさぎ！うさぎ！｣
そこにジュピターも駆け寄る。
｢うさぎちゃんは？｣
｢ダメ･･･。ネヘレニアの悪夢に囚われてる…｣
｢そんな･･･。うさぎちゃん！しっかりしろ！
目を覚ますんだ！｣
｢無駄だ。その者は二度と夢から目覚めることはない｣
｢元に戻せ！今すぐ！｣
｢お前は悪夢を見た事はあるか？｣
｢なに？！｣
｢本当に嫌な夢なら自分で目を覚ますであろう。
呼び起こしても目が覚めぬのは、
本人がその甘い夢の中に留まっていたいという証拠！｣
｢！｣
｢諦めたのだよ、何もかも…。
諦めて甘い夢に浸っているのだ。アハハハハハハ！｣
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作者名：歩 | 作成日時：2023年5月6日 4時
