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｢何をしているのです！さぁ、早く！｣
｢はい！｣
プルートの声でヴィーナスは橋を渡り出す。
花畑に変わった異空間。
うさぎは戸惑いながら辺りを見回す。
｢まもちゃんは、どこ？｣
『誰かをお探し？』
｢え？｣
誰もいなかったはずの空間で問いかける声がする。
『誰かをお探しなの？』
『ねぇ？誰かをお探しなの？』
｢花が！｣
うさぎに問いかけていたのは花畑の中に咲く一輪の花。
『失礼ねー、誰かを探しているのかって聞いたのよ』
｢私の大切な人なの。こっちに来なかった？｣
『大切な人？大切なのは自分だけよ』
『わざわざ探す必要なんかないわ。
向こうから迎えに来ればいいのよ』
『そうよ、そうよ』
｢駄目だよ。
まもちゃんはネヘレニアの呪いにかかっているんだから｣
『ネヘレニアの呪い？！怖〜いっ』
｢ネヘレニアを知ってるの？｣
『いいえ、知らないわ』
｢え？でも今怖いって‥｣
『怖いのは呪いよ』
『止めておいた方がいいわ。
きっとめちゃくちゃに踏み荒らされてしまう』
｢でも行かなきゃ！｣
『行くってどこへ？』
｢もう！だから、、…私、彼の、所へ‥｣
誰を探していたのか、彼とは誰なのか。
突然分からなくなってしまう。
『彼って誰？』
｢彼って、、彼って‥｣
頭を抱え出すうさぎに問い質す花々。
『誰の所ですって？』
『どこへ行くの？』
｢私、、｣
『ほら、もう思い出せない』
『いいのよ、ここにいても』
『この花園で私達と遊びましょ？』
『嫌なことは何もかも忘れて』
力が抜け花畑の中で座り込んでしまったうさぎの瞳からは
光が消えていた…。
ボロボロの吊り橋を渡るヴィーナス。
だが、傷んだ木は人の重さに耐えられず割れ、
踏み込んだ足は底が抜けて落ちそうになるも
何とか縄に捕まり事無きを得る。
そして、1人戦うプルートが目に入る。
｢デッド・スクリーム｣
プルートの技で砕ける分身達だが
割れた所からまたすぐに増えていく。
“皆を纏めるリーダーはあなたしかいない”
｢私が、リーダー‥｣
プルートの言葉が蘇る。
敵の攻撃を受けボロボロになっていくプルートを見て
ヴィーナスは堪え切れず走り出す。
｢ヴィーナス！ラブ・アンド・ビューティ・ショック！｣
ヴィーナスの攻撃で敵が砕け散る。
｢ヴィーナス！｣
｢プルート！早く！｣
プルートの手を引き、走り出す。
吊り橋を渡る2人を追いかけてくる分身達。
ヴィーナスが落ちそうになった際に切れかかっていた縄は
耐えられず切れて吊り橋は谷底へと落ちていく。
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作者名：歩 | 作成日時：2023年5月6日 4時
