呪いの魔鏡 ページ27
［この世で1番美しいのは誰？］
［はぁ‥］
［愛‥するのは、あなた‥］
ーーーフフフ‥フフフ‥ーーー
鏡を見て、無気力になる人々。
鏡には黒い影が映り込んでいることに、誰1人気付かずに‥。
朝---------
『朝起きると何故か無気力となり、
著しく体力を消耗する現象が、
若い女性を中心に広がっており、
ストレス性の新たな心身症ではないかと思われ、
現代の奇病と言われています』
朝のワイドショーから流れるアナウンサーの声。
みちるはソファに座りながら、
はるかと人2はドアの入り口に立ったまま、
ほたるはダイニング、せつなはキッチンで
テレビから目を離さず、それぞれが動きを止めていた。
｢白い月と輝く太陽を覆う暗黒の影…。
光り輝く金色と橙色の髪‥邪な思いが迫ってくる‥｣
｢現代の奇病か‥。無関係ではなさそうだな‥｣
｢鏡‥｣
｢………｣
人2は静かに目を伏せ、顔を俯かせている。
｢この間の妖魔も、正体は鏡だったわね‥｣
みちるはタリスマンでもある手鏡、
そこに一瞬、衛と黒い影が映りこむ。
｢っ！今、ビジョンが‥｣
｢衛さんに、危機が迫ってる‥。
今日、うさぎにも衛さんの様子聞いてみる‥｣
｢あぁ、何かあったらすぐに連絡してくれ｣
｢うん｣
---キーンコーン、カーンコーン
都立十番高校---
朝の鐘が鳴り響いている。
そして、いつもの2人が階段を駆け上がる音。
｢｢ハァ､ハァ‥｣｣
｢遅れる〜！うさぎちゃん、急いで！｣
｢高校生になっても遅刻ばっかりしてるって
ちびうさにバカにされるー！｣
階段を駆け上がった先の水道場に立つ男子生徒。
そこには鏡があり、ずっと鏡を見つめたまま動かない‥。
その男子生徒に気付いたうさぎは急ブレーキをかけ、
立ち止まると声を掛ける。
｢ちょっと、あんた！のんびり鏡なんて見てる暇ないっしょ！
チャイム鳴り終わっちゃたよ！｣
｢うさぎちゃん！人の心配してる場合じゃないでしょ！｣
うさぎが付いてきていないことに気付き、
戻ってきた美奈子に背を押され、うさぎもその場を立ち去る。
その時男子生徒の右目は、衛の様に金色に光っていた‥。
廊下を走る足音に読んでいた教科書を閉じる亜美。
そして、その足音だけで勘付くまこと。
その2人の傍にいた人2もまた、同じ様に立ち上がる。
｢あの音は‥｣
｢ひょっとしなくても、うさぎちゃん達ね｣
｢ふふっ｣
3人は走って来るであろう2人を待ち構えるために
教室の扉へと向かう。
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作者名：歩 | 作成日時：2023年5月6日 4時
