衛の異変 ページ13
｢はぁ〜もうすっかり春ね〜｣
｢あぁ‥｣
｢春と言えばやっぱり恋人達の季節よね｣
｢あぁ‥｣
春の穏やかな昼下がり。
家族や恋人たちであふれる公園のベンチには
うさぎと衛の姿があった。
ただ、うさぎの話にどこか上の空で返事をする衛。
そんな衛にうさぎも漸く気付き‥
｢隣の客はよく柿食う客だ！｣
｢あぁ‥｣
｢坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた！｣
｢あぁ‥｣
早口言葉を言ってみるもただ返事をするだけの衛。
そんな衛の対応にうさぎは怒り立ち上がる。
そこで衛も気付き名前を呼ぶ。
｢うさこ、、｣
｢まもちゃん！聞いてなかったでしょ！
せっかくの久しぶりのデートなのに！｣
うさぎが立ち上がったことで、手に持っていた銀色の風船が
太陽の光で反射している。
その反射した光が衛の右眼に当たると金色に光り、
衛の脳内にはネヘレニアの姿‥。
衛は右眼を押さえ苦しみ始める。
｢まもちゃん？｣
｢うさぎ？｣
名前を呼ばれてうさぎは後ろを振り返る。
そこには、はるかと人2の姿が。
｢人2ちゃん！まもちゃんが！｣
｢衛さん？！｣
うさぎで隠れて見えていなかったが、
衛の様子に人2も気付き、慌てて駆け寄る。
｢衛さん、大丈夫？！｣
｢あぁ、ちょっと体調が悪いだけだから‥｣
｢でも‥。はるか、衛さん送ってあげて？｣
｢あぁ、もちろん。近くに車を停めてあるから家まで送るよ｣
｢いや、大丈夫だ。心配かけてすまない｣
｢まもちゃん‥｣
｢うさこ、ごめん。後で電話する｣
｢うん‥｣
衛はフラつきながらも歩いて帰って行った。
｢大丈夫かな、衛さん‥｣
｢あぁ、心配だな‥｣
｢うさぎも大丈夫？｣
｢うん、ありがとう人2ちゃん‥｣
｢送っていこうか？｣
｢ううん、大丈夫だよ。
人2ちゃんもはるかさんとデートだったんでしょ？
ごめんね、邪魔しちゃって‥｣
｢そんなこと！私もはるかも買い物帰りに寄っただけなの。
それに、うさぎの姿見つけて声掛けたのは私よ？
うさぎこそ、あんまり1人で抱えないでね。
また何かあったらすぐ呼んで？｣
｢うん！ありがとう｣
｢じゃあ、私達はこれで。うさぎも気を付けて帰ってね？｣
｢うん、人2ちゃんもはるかさんもまたね！｣
｢はるか、気付いた？｣
｢あぁ、衛さんから微かに邪悪なエナジーの気配がした｣
｢やっぱり、そうだよね‥。
ガラスの破片が空から降ったあの夜、衛さんの身に何か‥｣
｢分からない‥。だが、警戒しておいた方がいい｣
｢そうだね‥｣
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作者名：歩 | 作成日時：2023年5月6日 4時
