山風ｸﾘﾆｯｸ７！ (ページ6)

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翔「あ、和先生！ちょっといい？」

和「ん？どうかした？」

翔「813のAちゃんなんだけど・・・。」

和「痛み、強そう？」

翔「本人は大丈夫だからって言うんだけどね・・・。
もう見てるのも辛くなるくらい苦しそうでさ。

どうにかならないかな・・・。」

Aちゃんのカルテを見ながら厳しい顔をする和也を懇願する目で見つめる翔。

Aは７歳の頃に小児がんを患い、それから何度も入退院を繰り返している。
和也がまだ研修医だった頃に外来で知り合い、ここに配属されてからずっとAの担当医として治療を続けてきたのだ。

何度か山場はこえてきたものの、先月の検査で全身への転移が見られ、予後はそう長くない。
急変したりすることもままならないため、今はナースステーションに直結している病室にいる。

和「ちょっと様子見に行くわ。今寝てる？」

翔「さっきのぞいたときは起きてた・・・っていうか、痛みが強くて寝れないんだと思う。」

和「そっか・・・。」

和也はふーっと小さくため息をつくと、デスクに置いていたステートを首にかけ、Aの病室に向かった。

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和「Aちゃん^^」

『ぁ・・・せん、せっ^^』

和「んふふｗ笑ってくれた～^^撫」

翔「Aちゃん、和先生が来るとほんといい顔するよね♪」

和「嬉しいなぁ～！先生もAちゃんの顔見ると元気でるよ。」

Aは十分な睡眠が摂れていないせいで、目の下にできた隈がなかなか引かない。
それだけではなく、度重なる投薬と放射線治療の代償で肌や唇はカサカサになり、
サラサラだった髪の毛も抜け落ちてしまった。

それでもAは、必死に笑顔でいようとしている。
生きようとしている。

和也は小さくなってしまったAの手を握り目をつぶると、今までのいろんなことが走馬灯のように脳内を駆け巡る。

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小さいころ、治療が嫌だと泣いて拒否されたこと。

夜の病院が怖くて眠れないというAのベッドで添い寝したこと。

大好きな屋上を一緒にお散歩したこと。

誕生日にプレゼントをくれたこと。

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僕のことが好きと言ってくれたこと。

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思い出したらきりがないくらい、Aとの思い出はたくさんある。

『・・・せん、せ？』

和「ん？」

声をかけられてゆっくり目を開けると、ぼやける視界の向こうの方で、不思議そうな顔をしているAの顔がぼんやりと見えた。

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あ・・・俺、泣いてるんだ。

　