山風ｸﾘﾆｯｸ７！ (ページ21)

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ｶﾙﾃ 035 * あやｻﾏページ21

ｶﾙﾃ035 * あやｻﾏ(17)
担当医 * 松本
担当看護師 * 櫻井
診療科 * 婦人科
病名 * 生理痛

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多くの女の子が月に一度悩まされる生理期間。
Aも例外ではなく、ここ数年は下腹部の痛みに加え、吐き気や頭痛もひどくなってきた。

そんな姿を見ていた母親が心配し、今日この山風クリニックに来たのだが・・・。

『あぁ・・・やっぱ行けるわけないよなぁ・・・帰ろうかなぁ・・・』

クリニックの前までは来たものの、なかなか中に入ることができずクリニックの前でうろうろするA。

そんなAの姿を見つけたのは、休憩から戻った一人の看護師だった。
白衣の上にダウンコートを羽織り、両手には近くのコンビニで買ってきたであろうお弁当がぶらさがっていた。

翔「あの～、どうかされました？」

『えっ！いや、そのっ！』

翔「んはは！そんな焦らないで？急に声かけてごめんね？中に入りずらそうだったから・・・。うちのクリニックに何か用？」

何か用？もなにも、診察に来たのはいいが勇気がなくて入れませんとも言えず・・・。
うつむいてオロオロするAはどう答えていいかわからず、口ごもってしまった。

翔「もしかして、受診しに来たの？」

『うっ・・・ｺｸﾝ』

翔「そっか、頑張って来れたね。今、休診時間中だから、中入って待ってる？今日は寒いから冷えちゃうといけないし、ね？」

診察のことばかり頭にあって、診療時間のことなんかこれっぽっちも考えずに来てしまったA。
目の前の看板と時計を見比べると、午後の診療時間までまだ１時間近くもあった。

『あのっ、すいません！出直してきます！』

翔「なにも遠慮することないよ？せっかく勇気だしてここまで来れたんだから。今お家帰っちゃったら、もう行きたくない！って思っちゃうんじゃない？午前の患者さんはもうみんな診察終わってるから大丈夫。温かい飲み物入れてあげるから、ね？撫」

翔の大きな手で優しく頭を撫でられ、少し迷っていたAの気持ちがちょっぴり軽くなった気がした。

結局看護師さんに背中を押されてクリニックに入ったはいいものの、あの病院独特のにおいが鼻をかすめ、一気に緊張感が増徴した。
いつもの病院と違うのは、薄いピンクで統一された、女性向きの可愛らしい雰囲気だったこと。
それだけで少しは気持ちが落ち着いた。