山風ｸﾘﾆｯｸ７！ (ページ18)

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子ども扱いしないで！と思う反面、確かに翔の存在はとても落ち着くものだったので、言い返せずに黙り込んでしまった。

和「ほら、ちょっと隙間空けてくれるだけでいいから、ね？」

翔がさっと隙間を作ると、和也がそこへ聴診器をすべりこませる。
聴診器が当たったことによる緊張と、和也への羞恥心で一気に体がこわばり、目はキョロキョロとしていて落ち着きがない。

和「Aちゃん、息止めないで？怖くないから。ほら、スーハーってしてみ？」

Aは目を潤ませながらも、さっきよりぐっと距離が縮まった和也の声を頼りに深呼吸を繰り返す。

和「はい、いいよ。呼吸音は問題ないね。はい、次口開けて～？」

『・・・！い、いやっ！涙』

和「うん、嫌なの知ってるけどさ？」

そう言いながらも和也の手にはすでにペンライトと舌圧子が握られていて。
翔が逃げようとするAの頭部を固定したため、またもや身動きが取れない。

和「Aちゃん、ほら。お口あーん。」

『いやっ、いやっ・・・涙』

翔「大きくあーんってしたら、苦しいことないからね？あーん、できるかな？」

さっきまで子ども扱いしてしまったと項垂れていた翔も、すっかり小児科スイッチが入ってしまっていることに本人は気づいていない。
Aもそんなことを気にしていられるほどの余裕はないようで、和也によって強張るAの顎に手をかけられていることの方が気になって仕方ないようだ。

『かずく、やだっ涙』

和「やだね～。Aちゃん、お口あーん嫌いだもんなぁ。怖かったら小さい時みたいにえーんって泣いてもいいんだよ？」

『・・・んーん！涙』

泣いてくれた方が喉の力が抜けて見やすい・・・なんてことAには言えないけどね。笑

和「じゃあ頑張ってあーんしよう、な？怖くない、怖くない。ほら、あーん。」

翔「Aちゃん、頑張れー！」

和也がAのあごを引くと、翔にそのまま固定を頼み、初めはペンライトだけを使って喉の奥を視診していく。
なるべくAに負担はかけたくないからね。

しかし、喉の様子を見て舌圧子を使わざるを得なくなったことに気づいた。
発熱の原因はこの咽頭炎で間違いなさそうだから・・・；

和「Aちゃん、もうちょっとあーん頑張ってなぁ？」

『っΣぅえっ！・・・んー！ごほごほっ』

和「ごめんごめん。よく頑張ったな撫」

『ふぇ・・・泣』

翔「苦しかったねぇ。よしよし、えらかったよ～^^」