山風ｸﾘﾆｯｸ７！ (ページ16)

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和くんが遠く離れた大学に行ってしまったのは６歳のとき。
とっても寂しくて、毎日和くんを思い出しては泣いてたっけ。

小学生になって、和くんがお医者さんになるために遠くの大学に行ったことを知った。
お家が病院なんだから、和くんも当たり前のように医者になることくらい考えればわかること。
でも、まだ幼かったAは、なんだか和くんに裏切られたような気がしてならなかった。

だって、和くんは私が病院嫌いなこと、一番知ってくれていたから。
だからお正月に和くんが実家に帰ってきていると知っても会いに行くことはなかった。
和くんはもうお医者さんなんだって思うと、今までの優しい和くんじゃないような気がして怖かった。

まさか１１年ぶりの再会がこんな形になるなんて・・・。

翔「・・・Aちゃん？」

『あの、やっぱり・・・帰ります。』

翔「いやいや、そんな真っ赤な顔してる子、このままほっとけないよ～；そうとう辛いでしょ？
検温できないほど辛いんじゃ、おうち帰ってもしんどいだけだよ？先生に診てもらって、早く楽になろう？」

まだなにも記入されていない問診票と、点滅表示したままの体温計を困ったように見つめる翔。

それでも弱々しく拒否の姿勢を見せたAだったが、にっこり微笑んで背中をさすってくれる大きな手に少し安心してコクリと頷いてしまった。

翔「いい子だね^^ ゆっくりでいいからね～。」

『はぃ・・・///』

翔に支えてもらいながら向かった診察室は、見慣れたいつもの診察室。
いつもならこの奥に和くんのお父さんが座っているのだが、今日は違う。
そう思っただけで足がすくんでしまった。

翔「Aちゃん、大丈夫？」

『・・・コクッ』

翔「お熱しんどいね。早くイス座ろうね～。先生、次の患者さんお願いします。」

恐る恐るAが顔を上げると、そこにはお父さんにそっくりな笑顔の和くんが座っていた。

和「久しぶり、Aちゃん^^」

『かず、くん・・・涙』

和「病院嫌いはまだ治ってないのか。そりゃ俺にも会ってくれないわけだな；」

翔「なに？Aちゃんと知り合い？」

和「Aちゃんとは家が近所でね。昔よく面倒見てたんですよ。可愛い妹みたいなもんです^^

まぁ、それも１１年前の話ですけどね・・・。」

一瞬寂しそうな表情をした和也は、ぱっと切り替えてAに向き直った。