山風ｸﾘﾆｯｸ５！ (ページ12)

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布団にもぐりこんでも、検査への恐怖心は消えることはなく、むしろ吐き気が強くなって、いつもベッド脇に置いている嘔吐用の容器に嘔吐してしまった。

もう病室でじっとしていることができなくなり、隙をみて病室から抜け出すことにしたA。

この時間、看護師はみんなちびっこの食事介助でバタバタしているし、先生たちは申し送りの時間で医局から出てこない。
抜け出すには好都合だった。

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久しぶりに病棟の外にでる。
外って言っても、屋上や中庭には行けないので、病院内をブラブラ歩くだけ。

検査が嫌で抜け出したAだったが、だんだん探検しているようなワクワク感と、誰かにばれないかというソワソワ感で楽しくなってきた。

いつもは行かない病棟の方に歩いていくと、新生児室を見つけた。
すやすや眠っている子や、看護師さんにミルクを飲ませてもらっている子、大泣きしている子・・・
たくさんの赤ちゃんがいて、Aはしばらくガラスに張り付いてその光景を眺めていた。

そんなAの様子を不思議そうに見ていた産婦人科のナースがいたことも知らずに。

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その頃小児科病棟では、朝食のトレイをさげようと和也がAの病室に入っていくところだった。

コンコン
和「A～、食べ終わった？って、あれ？・・・いない；トイレかな。」

病室にいるはずのAの姿が見当たらず、帰ってくるのを待とうとベッドに近づく和也。

机には一切手のつけられていない朝食がそのまま置いてある。
それより先に目に入ったのは、ベッド脇の嘔吐物だった。

和也はトイレでAが吐き気と闘っているのではと不安になり、そのまま小児科病棟の女子トイレに向かった。

しかしそこにAの姿は見当たらず、和也は急いでナースステーションに戻った。