山風ｸﾘﾆｯｸ６！ (ページ5)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:152,471 hit

＿＿＿＿＿ページ5

涙目で嫌だと訴えてくるAちゃん。
きっと口腔内に血の味が広がって、恐怖心が増してるんだろうな。

翔「大丈夫。血はすぐ止まるからね。だけど、もし歯が折れてたりしてると大変だからさ。痛くないようにするから、ちょっと頑張ってよ～。」

和也がすっと頭部の固定をしてくれたのを確認し、Aの手をどけてゆっくりタオルをはがした。

翔「よしよし、ちょっとお口の中診せてよ～。あーんして？」

歯医者でもないのに、グローブをはめたお医者さんに口の中を覗き込まれている。
そんな状況だけでAの心拍数は跳ね上がり、意思とは関係なく涙がぽろぽろと溢れた。

和「大丈夫だからね。大きくあーんしてみ？」

翔「ちょっとごめんなぁ？お口の中に手入れるけど。」

『んっ、んっ涙』

翔「ん～・・・特に歯は問題なさそうかな。こけた時の衝撃で上唇の内側が切れちゃったんだね。そのうち腫れも治まるから心配ないよ。」

『・・・頷。』

和「んふふ。あとは傷の縫合だけですからね。」

『いは、い・・・でふ、よ・・ね？涙』

翔「洗浄がちょっとしみるかな？でもちゃんと麻酔するし、傷口も見えないように覆うから心配しないで？」

和「この先生ね、縫合うまいってここらじゃ有名なんですよ？手際はいいし、痛みも少ない、おまけに傷あとも残らないってね！」

翔「ちょ、お前そんなプレッシャーかけんなって～・・・凹」

和「ちょっとヘタレなのが玉に傷ですけどね(ｺｿｯ」

気合を入れるために自分の頬をパチパチと叩く翔に聞こえないよう、和也はAの耳元でささやいた。

Aは和也の話術で少しずつ緊張がほぐれ、まだ涙目ながらも少し笑顔を見せてくれた。