山風ｸﾘﾆｯｸ６！ (ページ4)

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保「先ほど連絡した山風高校の者です。外周ランニング中に転倒したようで・・・。よろしくお願いします。」

和「こちらにどうぞ。ベッドに横にならせてあげてください。」

病院についたころから、やっと意識がはっきりして、事の重大さが把握できるようになっていた。

この病院独特のにおい・・・このにおいだけで一気に緊張感が高まり、逃げ出したくなるのをぐっとこらえ、顧問に礼を言った。

顧「親御さんに連絡いれないといけないから。先生の言うことちゃんと聞いて処置してもらうんだぞ？」

顧問の先生は、お医者んさんと看護師さんに「よろしくお願いします。」と頭を下げると、慌ただしく処置室から出て行ってしまった。

翔「さて、と・・・。お名前聞いてもいいかな？」

『A・・・です。怯』

和「緊張しなくても大丈夫ですよ^^ っていっても、けがしちゃったら誰でもびっくりしちゃうよね。」

翔「Aちゃんね。僕、外科医の櫻井です。こっちは看護師の二宮。」

和「よろしく^^」

翔「とりあえず傷口見せてもらいたいんだけど・・・」

目立った外傷は左足の膝と左眉あたりの裂傷。それから腕と足の擦り傷ってところか。
あともう１つ気になるのが、さっきから口元を押さえているタオル。
転倒時にもし口腔内をけがしたんだとしたら、きちんと診なければいけない。
時に口腔外科に頼まなきゃいけないような傷があったりするからね。

翔「ちょっと止血してるタオルとるよ？怖かったら目つぶっててくれていいからね～。」

翔と和也はラテックスグローブをはめると、患部に触れないよう慎重にタオルをはがしていく。

和「ごめんね、ちょっと足持ち上げるよ？」

自分の足がどうなっているのか気になって見ようとしたが、先生がそっとはがしたタオルに思いのほか血がたくさん付着していたので、怖くなってぎゅっと目をつぶった。

翔「ごめんなぁ。今度お顔の方診るからね～。ん～、よしよし。はいいいよ～～。膝は縫合が必要だね。Aちゃん、最後お口診せてくれる？」

タオルで覆ってはいるが、自分でも口の中が傷ついて血があふれ出ていることだけはわかる。
それが怖くて、なかなか口元の手をどけられずにいた。