◇142◇ 13年間 *Kazunari* ページ48
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――――――――…やっぱり。
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だって……今、俺から見えてる風景、
分厚い参考書が沢山置かれた勉強机に
壁に掛けられてる、うちの高校のものではない制服。
しかも男子用……だもん。
あきらかにAのものじゃないもんね・・・
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和「しょーさんとは、ずっと同じ部屋なの？」
「うん、そうだよ。」
和「…どれくらい？」
「えっ？(笑)
えーっと…私がここに来たときからだから……
13年くらい？」
和「えっ…そんなに!?」
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俺が想像していたよりも、はるかに長い年数だったから
ビックリして、思わず大きな声が出ちゃった…；
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「うん。
ここの施設ではね、なるべく歳の近い２人で
１部屋を使うっていうシステムになってるから…
同い年の私と翔はずっと一緒の部屋なの。」
和「そ、うなんだ……」
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俺の腕の中で、ニコッと微笑みながら話すA。
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“私と翔はずっと一緒の部屋なの”
しょーさんは13年間もずっと
同じ家、同じ部屋でAと生活してて
色んなAをきっとたくさん見てきてる。
俺の知らないAを、
しょーさんはきっといっぱい知ってる……
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そんなことを思ったら、しょーさんに対して
小さな嫉妬心が芽生えてきちゃって……
Aを、俺だけのものにしたいって気持ちが
前よりも強くなって。
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今、俺の腕の中にいるAがどこにも行かないように、
ふわっと腕の中からいなくなって、儚く消えていかないように・・・
腕の中で俺のことを優しく見つめているAを
もう一度ギュッと抱きしめた。
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作者名：二宮 來侑 | 作成日時：2013年3月9日 12時
