◇117◇ “和”という存在 ページ22
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ゴクッと空気と一緒に自分の本心を飲み込む。
きっと、気づいた本当の気持ちを口に出せなかったのは、私の頑固な性格のせい。
“もう恋はしない”と自分の中で決めたことを壊すのが嫌だから。
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もうひとつは、叶夜くんのこと。
またあの時と同じことになるのが怖いから…
なるなんて保障はどこにもないけど、ならないなんて保障もどこにもなくて…
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私の中で“和”という存在が、少しずつ大きくなって、
なくてはならないものになりつつあるから。
全てを話して失うくらいなら、
今のまま一緒にいて仲良く笑いあえてた方がいいって思ってしまう。
恋できなくても、両想いになったり、付き合ったりできなくても
和のそばにいられれば、あの安心感を感じられれば、それでいいって・・・
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心「なに悲しい顔してんの」
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ずっと心結ちゃんのことを見つめたまま、そんなことを考えていたら
ふわっと優しい笑顔で微笑みながら、私の頬をツンツンしてくる心結ちゃん。
「そんなことないよ」って思いを込めて、私も微笑んでみたけど
幼馴染の心結ちゃんにそんな微笑みが通用するはずがなかった。
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心「…無理して笑わない」
「別に、無理してなんか…」
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心「…ねぇ、A？」
「なに？」
心「Aは二宮くんのこと、信頼してる？」
「…信頼？」
心「うん。 二宮くんのこと信じてる？」
「…うん。 信じてるよ？
裏切られたことないし、和はそういうことするような人じゃないと思うし。」
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…まぁ、遅刻はするけどね(笑)←
でも、ちゃんと来てくれたし、かなり焦って急いでくれたみたいだから
全然いいし、嬉しかったけどね。
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心「じゃあさ、その信頼する気持ちを恋にも向けることはできないの？」
「…え？」
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信頼する気持ちを恋に向ける…？
どういうこと？
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作者名：二宮 來侑 | 作成日時：2013年3月9日 12時
