不器用さんの恋のゆくえ。 (ページ37)

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「いやあ、楽しかった！今日はありがとね」

花火が終わった後、ふたりで道を歩く。

『結局俺も奢ることになるとはなー』

さっき帰り道にたこせんの屋台を見つけて、食べたい！と思ったらお金が無くてしげに奢ってもらったのだった。

『てか高校生にもなって所持金300円ってどういうことやねん』

「今月お小遣いピンチやったの！」

『小遣いなんぼなん？』

「2000円」

『は！？少なすぎやろ、ちょっと上げてもらえよ』

「お父さんが厳しいからムリ。お父さん、中学校の先生やねん。やから、色々厳しいねんなあ」

『いや、それにしても高校生にもなって2000円は少ないわ』

そんなことを言いながら帰っていた、その時。

「いった！」

足元を見ると、下駄の鼻緒が切れていた。

この下駄は、昨日浴衣のセットを見ていて下駄が無いことに気づき、急ぎ近くのショッピングセンターで買ったもの。

とりあえず使い捨てでもいいからと思って安物を買ったのが間違いだった。

しげがしゃがんで私の足元を見る。

『あーあ、切れてもうたな。家どこ？この近く？』

「もうちょっとある」

『そっか....』

ちょっとだけ考えるような素振りを見せて、しげは顔を上げた。

『ちょっ、ここで待っとけ。すぐ戻ってくるから動くなよ！』

しげは小走りで向こうに行ってしまった。