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重岡side
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『ひっさびさにりんごあめ食ったけど美味いな』
「まあ自分のお金じゃないしねー」
Aがドヤ顔でこっちを見てくる。
浴衣を着ていて、髪型もいつもと違う。
顔もいつもと少し違う気がするのは、メイクをしているせい？
そんなAを見ると、何というかドキドキするような....いや、気のせいやろ。
上手いこと人が少ない所を見つけてそこに座る。
ヒュー....
夜空にパッと花が開き、ドンと音が心臓に響く。
花火が上がる度、周りの人の歓声も上がる。
「わあ！綺麗やねえ」
隣にいるAも歓声を上げている。
『...神山くんと来たかったか？』
次の花火が上がるまでの間に、少し気になっていたことを聞いてみた。
その声にAは少し驚いたような顔をした。
『なに、変なこと言うたか？』
「いや、しげそんなん気にするんやと思って」
『俺をどんなやつやとおもてんねん』
「え？変なやつ」
そう言うと、Aは楽しそうに笑った。
「もう、そんな顔せんといてよ、冗談に決まってるやん」
ひとしきり笑った後、Aは表情を戻して言った。
「まあそりゃ本音を言えばさ、そうやけど」
「でも、めっちゃ楽しいよ。奢ったのは痛かったけど」
そう言って、Aはまた笑う。
「あ、花火また始まったー」
夜空に視線を移したAの横顔を俺は見ていた。
花火が上がる度、Aの顔が明るく照らされる。
楽しそうにニコニコ笑っていたり、驚いたような顔をしたり。
花火の色のようにコロコロ変わるAの表情にいつの間にか魅入っていた。
そんな俺の視線に気づいたのか、Aがこちらを向いた。
「ん？どうかした？」
『ああ、いや。なんもない』
何？俺なんかドキドキしてる？
いや、そんなはずない。
これは、花火の音が心臓に響くせいや。
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作者名：あさひ | 作成日時：2018年8月30日 18時
