不器用さんの恋のゆくえ。 (ページ35)

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河川敷に着くと、人の多さはより増した。

「しげ、この祭り来たことある？」

『うーん、確か子どもの時に来たはずやけど...こんな人多かったっけな？』

「それ私も思ってた！やっぱ多なってるよね」

河川敷には多くの屋台が並んでいる。

たこせんやヨーヨーつり、金魚すくいにわたがし...

やっぱいくつになってもこういう所に来るとワクワクするなあ。

前の方にりんごあめの屋台を見つけた。

「あ、りんごあめ！しげ、りんごあめあったで！」

周りを見ると、さっきまで隣にいたはずのしげがいない。

あれ、どこ行ったん？

キョロキョロしながら歩くが人が多くてどこにいるのかわからない。

ここではぐれたら結構見つけるん大変かも...

そんなことを思っていると、突然腕を引かれ少し道から外れた所に出された。

「きゃあ！」

『お前、どこ行くねん。こんな人多い中チョロチョロ動いとったら探されへんやろ』

腕を引いたのはしげだった。

「ごめん...」

ふと腕を目線を移すと、しげは私の腕をまだ掴んでいた。

『あ、悪い』

そんな私の視線に気づいたしげが、慌てて手を離した。

「....あ、そうや！りんごあめ見つけたで、食べに行こ」

『待って』

先に行こうとした私をしげは制した。

不思議に思って振り返ると、しげは私の顔を見ずに私の手を取った。

そしてそのまましげのTシャツの裾を掴ませた。

『お前すぐどっかチョロチョロするから、ここ掴んどけ』

私の顔を見ずにそんなことを言って、りんごあめの屋台の方へ歩き出した。