不器用さんの恋のゆくえ。 (ページ25)

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重岡side

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『Aー、どこやー！』

夏希からAがいなくなったと聞いた時、俺はほぼ直感的に思った。

もしかしたらAはあいつ、元カレに会ったんじゃないのか？

これは推測にしか過ぎひんけど、もし、たまたまあいつもここに遊びに来てて、たまたまAを見つけて、声を掛けたとしたら？

こんな偶然、何百分の一、何千分の一かもせえへん。

やけど、今Aがいなくなっているのは事実。

もしほんまにあいつに会って連れ去られたとしたら....

取り返しのつかないことになるかもしれない！

俺は必死でAを探し回った。

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神山side

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『A！A！』

夏希によると、Aがどこかへ行ってしまったらしい。

俺は走りながら、昔を思い出していた。

確かAが幼稚園の年長で、俺が小学校に入った頃。

夏休み、Aの家族と俺の家族で山へ遊びに行った時のこと。

ふと目を離した隙にAがどこかへ行ってしまって、みんなで探し回った。

〈智洋はとりあえず、ここにいて〉

『嫌や！俺も探しに行く！』

〈そんなんあんたがいなくなったらどうすんの？〉

『いけるから！やからお願いやって』

何とかオカンを説得して、俺も探しに行った。

前の日雨が降ったせいで、道はかなりぬかるんでいた。

泥まみれになりながら、傷だらけになりながら俺はAを呼び続けた。

まだ小さかった俺はすぐに疲れて、元々みんなで遊んでいた所へ戻ろうとしていた。

その時、俺らが遊んでいた川からそんなに遠く無いところで声が聞こえた。

「.....ん、.......ちゃん？」

『A？いてるんか？』

声のする方へ向かうと、聞こえた声がだんだん大きくなっていった。

「神ちゃん！ここにいる！」

大きな葉っぱに隠れるようにして、座っていたAは泥まみれになっていた。

『A！いけるか？』

「神ちゃん.....っ」

Aを抱きしめると、水たまりに入ってしまったのか服は濡れ、冷たくなっていた。

A、安心せえ。

大丈夫や。あの時と同じように、また俺が見つけたる。