表情の裏の感情＊N＊ (ページ30)

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次々にドリンクのオーダーが入るので、忙しなく動く。

そしてあるテーブルで一人の男性に話しかけられた。

その人は名前が思い出せないけど、隣の部署の人だ。

よくよく見回すと、このテーブルはどうやら隣の部署の仲良し組さんだ。

男「ねぇねー、藤野さんって、あんまり男っ気無いよね、彼氏いんの？？」

腕を引っ張られて無理矢理座らせられる。

突然の質問に戸惑ったが、なんとか返す。

私「っ…、えっと…、いないです…」

相当酔っているのかな。

なんで私にそんなこと聞いて…

男1「じゃあさ、この後一緒にご飯行かない？？笑」

私「えっ」

男2「おい(笑)からかうのやめろよ(笑)」

男「いいじゃん、うぶだから面白そうじゃん(笑)」

男2「ふはっ(笑)ってか藤野さんいつも無表情で何考えてんのか分かんねーじゃん(笑)」

ドッと笑いが湧く。

あ、この感覚久々だな。

怖い。

なんなの…。

私は掴まれた腕に震えながら、おろおろしていた。

周りの女子達が「やめなよ～(笑)」って言いながら笑ってる。

やだな。

ここから逃げ出したいな…。

やだ…。

動けない…。

やだ…、助けて…。

ガタンっっっっ

和「お前ちょっと酔いすぎ」

私「っっ！？」

男1「っ、二宮さん！？」

私を引っ張って男性から離れさす。

それは、紛れもなく二宮さんだった。

そしていつもの無表情な目つきで淡々と言う。

和「ごめんね、この子俺のなの。照れ屋さんだから彼氏いないとか言っちゃうの。勝手に口説かないでね」

一息でそう言って、さっきまで賑わっていた場所は静けさに包まれた。

和「行こ」

私「へっ」

二宮さんは私の腕を取り、私の鞄を取って外に連れて行かれた。