ルリトウワタ (ページ14)

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智「Aちゃんみたいな事務員さんがいるから俺たちの仕事が成り立つんだよね。今日翔ちゃんの挨拶聴いててそう思ったの…。」

翔ちゃん…、あっ社長か！と変換するのに少し時間がかかった。

智「とにかくありがとうね、代表して伝えとく(笑)」

私「はい…」

まさか大野さんから感謝されるなんて…、もちろん私1人にだけではないが…。

でも、嬉しい。

派遣なのに、こうやって感謝されるとなんだか誇らしい気持ちになる。

そういえば大野さんといえば、とてもボーっとしていて無口な人だと聞いたことがある。

でも今日はたくさん喋っていた印象だ。

不思議な人だ。

私「ふふっ」

智「ん？？どした？？」

私「すみません(笑)なんだかおかしーなーって…」

今ならうまく話せそうな気がする。

私「お隣さんが大野さんって分かってからすごく挙動不審になってしまって…、絶対に関わることのない人だと思ってたので…、でも、大野さんも普通の同じ人だよなーって思って」

大野さんがどんな顔をして聴いているのか…。

分からないけど、話続ける。

私「知らない内に人を分類分けしてて、わたしおかしーなって…、さっき大野さんに感謝されてなんかすごく嬉しくて…、わたしみたいな人間に感謝する人なんて今までいなかったから…」

なぜか涙が出てくる。

智「Aちゃん…」

私「すみません、何いってんだか(笑)」

零れる涙を拭う。

智「同じだよ」

私「っ…」

智「みんな同じ人間」

地味な生活を続けてきた私は知らない内に派手な人、地味な人などと分類分けしてた気がする。

でもみんな同じ人間。

この言葉に一気に心が軽くなる。

私「ふふっ、すみません…。もう遅いので寝ますね、ではおやすみなさい…」

ガラガラ

私は部屋に戻り溢れ出る涙を拭いながら風呂に入る準備をした。