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家に入り、机の上に荷物をポンっと放りソファーに座ってはや5分。
今だに大野さんがお隣さんであることが不思議でしょうがない。
頭の中でぐるぐると駆け回るのは今日の出来事。
とりあえず気持ちを落ち着かせようと思い、ベランダに出てみる。
ガラガラ…
ひゅーー
窓を開けた瞬間春の匂いと共に少し冷たい風が入ってくる。
夜空は星がキラキラと光っている。
私「すぅぅぅぅぅぅ…、はぁぁぁぁ…」
春の風を思い切り吸い込んで吐き出す。
すると…、
「…いるの？」
隣から声が聞こえる。
驚いて隣の壁に目を向ける。
私「えっ、…大野さんですか？」
智「そうだよ(笑)何回も言うけど大野だよ(笑)」
落ち着く為にベランダに出たのに、結果落ち着かない。
私「すみません…、なんかやっぱいまだに信じられなくて…」
智「ふふっ、今日謝ってばっかだね君」
私「すみません…、あっ、すっ…」
言葉が詰まる。
智「名前、なんて言うの？」
私「AAです…。」
智「Aちゃんか」
ドキッ…
ナチュラルに自分の名前を呼ばれて、胸がギュッとなる。
智「Aちゃんはさ、何の仕事してるの？」
顔が見えないベランダで会話している。
壁が1枚あって良かった。
こんなドキドキしている真っ赤な顔で話せない。
なんとか声を絞り出す。
私「あっ、派遣で事務のお仕事をしています…」
智「ウチの会社で？」
私「はい…」
智「そっかー、やっぱそうなんだ、俺の名前知ってたからさ」
私「はい…、すみません…」
智「なぁーんで謝るの！謝らなくていいよ」
私「うぅ、はい…」
わたしは、はいとすみませんしか言えないのかと恥ずかしくなる。
うまく話せなくて唇を噛みしめる。
智「あのさ…、絵、よく書いてるの？」
私「えっ、あ、はい…」
智「そうなんだ…、絵好き？」
私「はい…。絵が好きだからこの部屋に住み始めたんです…。ここから見える景色が大好きで…」
余計に話始めてしまいしまったと思ったが、優しい笑い声が聞こえてくる。
智「んふふっ、一緒やね」
ドキッ
また胸がギュッとなる。
私「一緒…」
智「おれもね、ここの景色大好きなの。いいよね、ここ。」
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作者名：みょーちん
| 作成日時：2018年4月24日 0時
