ルリトウワタ (ページ11)

今日:4 hit、昨日:18 hit、合計:12,780 hit

・ページ11

私「えっと、私、このマンションのベランダが好きでよくベランダですごしてるんですけど、隣からよく鼻歌が聴こえてまして…」

智「うっそ…！！聴こえてたの？？」

私「は、はい…。あっ！全然迷惑とかじゃなくて、こうなんと言いますか、とても心地よいと言いますか…」

智「じゃ、もしかして君絵を描いてたりする？？」

私「えっ、…描いてますけど…。」

すると智は眼を輝かせながら、

智「うわー！！あの鉛筆の音、君だったんだ！！」

なんだか嬉しそうだ。

私「なんで知ってるんですか…？」

智「いつもベランダに行ったら聴こえてくるんだよ、しゃっ、しゃっって」

私「そうだったんですか。」

驚きの連続で頭がついていかない。

智「お隣さんだったんだね？」

私「そう…みたいですねで…、ハハッ」

お隣さんがまさか大野さんだなんて、誰が想像できただろうか。

いまだに信じられなくてうまく笑えない。

智「ほら、落としてるよ、これ。」

そう言ってビールと鍵を拾ってくれた。

私「あっ、すみません、ありがとうございます…」

ほんとに何から何までも申し訳なく、全力で頭を下げる。

智「大丈夫！怒ってないから！俺どこも怪我してないし、頭あげて？？」

私「ほんとにすみませんでした…」

智「うん、気にしないで？じゃぁね、お隣さん？」

私「はい…」

こうして震える手で鍵を開けてようやく帰宅した。