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ちぃと、伊野ちゃんが別れた……?
てことは付き合ってたの?
まさか……
高木「そうだろ?何か言えよ。知念。」
そう言われて知念は少しの間黙ってたけど、
口を開いた。
けど、それはさっきの怒り声とは違い、
伊野ちゃんへの申し訳なさが滲み出ていた。
知念「そう、だよ。メンバーには誰も言わずに。伊野ちゃんと付き合ってた。
いつだったかな…伊野ちゃんと別れたんだよね。僕から話を切り出した。
付き合って一緒に過ごしてるうちに、気付いたんだよね。
伊野ちゃんの好きな人って僕じゃないんだなあって。だってさー、話してたらさ、雄也の話ばっかり出てくるんだよ?」
そう知念が言うと、雄也の目が見開いた。
知念「もちろん、他のメンバーの話だってたくさん出てきた。僕の話なんて、ほんの少ししかなかった。
なんでかなあ、?だってさ、伊野ちゃんが僕に告白したんだよ?付き合ってくれないかって。
なのに何?告白した方が相手のこと好きじゃないって。
遊びだったのかなあ、本心じゃなかったのかなあ、って考えたの。
だから、それなら僕ら、付き合わない方がいいなって。
僕から別れを切り出せば、伊野ちゃんも傷つかないかなって。」
そこまで言ったら知念は、ふーっ。と自分を落ち着かせるように深呼吸をした。
知念「僕ら、別れよう。そう言ったとき、悲しげな笑みを浮かべてた。それ見てさ、伊野ちゃんはなんとなく分かってたような気がしたんだよね。
もう分かってたんだ…って思いながらも、そこでさよならだった。
ここで、僕らの話は終わり。それ以降はただのメンバーとして、過ごしてた。
だから、伊野ちゃんが泣いてたなんて知らなかった。」
その言葉で、知念の口は閉じられた。
高木「話はわかった。それでも、お前を許すことはできない。伊野尾くんが泣いてたことは事実だから。」
そう、強い口調で言ってはいたけど、雄也の頬には一粒だけ、たった一粒だけ。透明な滴がこぼれていた。
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