月が綺麗ですね。【短編集】Part2

晴れのち曇り時々雨 05 ページ14

大野 side









「智くん、起きて」









体を揺さぶられながら、名前を呼ばれて


ふわふわしていた意識から覚醒する。




目を開けてすぐ、目に入ったのは


愛おしそうにおれの顔を覗き込む、翔くん。









「あれ…翔ちゃん……」


「もうそろそろ起きないと仕事間に合わないよ」


「うん…ありがと」









懐かしい夢だったな。


あの出来事があって、付き合うようになったおれと翔くん。




そう言えば、どうして大野さんってずっと呼んでたかって聞いた時









「智くんって呼ぶと、キモチが溢れそうだったから呼べなかったの。…ごめんね？」









なんて可愛い答えが返ってきて、びっくりしたっけなぁ。




ふふ、と笑うと、翔くんが訝しげな顔でおれを見た。









「気持ち悪いんですけどー。何ニヤニヤしてんの？」


「翔くんとコイビトになった時の夢見てたの」


「げ、やめてよ」









照れくさそうに笑った翔くんに近付いて、ギュッと抱き締める。


翔くんはちょっとー、と笑いながら、おれの背中に腕を回した。









「ねぇ翔くん、好き」


「え？何よいきなり」


「好きだよ。…翔くんは？」


「…俺も好きだよ、智くん」









あぁ、この人が愛しい。


この人が好きだ。









「ねぇ、時間が…」


「もうちょっと」


「…もう、しょうがないなぁ。あと一分だからね」









ふふ、と笑った翔くんからちょっとだけ離れて、ぷっくりした唇にキスを落とす。


真っ赤な顔になった翔くんが、可愛くて、また口元が緩んだ。









［Fin.］




【Happy Birthday.

I hope the following year will be another wonderful one.】


14' 11.26

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