検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:847 hit

. ページ6

side私






20××年 冬



あなたと別れて、最初の冬。






いつも以上に空気を冷たく感じて、

私はふいに空を見上げました。




今日は東京に初雪が降りました。



ヒラヒラとそれはそれは軽そうに、

私たちの元へと降りてきました。




冬だなぁと漠然と感じます。





あなただったらきっと

「雪が降ったから鎌倉でもいこうか」

って言うんでしょう。






あなたも私も、移ろう四季が好きでした。




あなたは色んなところに私を連れて行ってくれました。





とてもとても幸せでした。



でも、同じくらい苦痛でした。





私にもあなたの前に、彼氏がいました。




所謂元カレと言うやつですね。




彼は、あなたによく似ていました。




もちろん外見は違います。



中身の方です。




彼も私とあなたと同じで、

四季が好きでした。



あなたと同じように色々なところに連れて行ってくれました。



あなたと同じように甘いものが苦手でした。







本当によく似ていたのですよ。









でもある日──彼は急死してしまいました。







原因はくも膜下出血でした。



彼と私はもう結婚しようかと思っていて、

彼の御両親とも面識があったので、

お義父さまとお義母さまは私に連絡してくださいました。








上司に事情を説明して、

急いで彼の元へ向かいました。




部屋に入ると、

お義父さまとお義母さまの向こうに彼が見えました。






彼の顔には白い布が被せられていました。





「ねえ……うそ…だよね…?ねえ!!!!やだ…!置いてかないでよ!!!!」






思わず叫びました。


死んだことを信じられなくて、

いつも私よりもずっと温かかった、

男らしい彼の手に触れました。









──彼の手はとても冷たいものでした。





そこで私は彼が死んだことを知りました。






それからというもの、


私はなかなか前向きに生きていけませんでした。









─────あなたと会うまでは。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ロマネスコ | 作成日時:2018年11月11日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。