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夕方になって、山荘に着きました。






山の気温は下界よりもずっと涼しく感じました。






荷物を下ろして、窓から見える大自然を見ていると、都会の人混みに帰りたくなくなりました。






君と居られるなら案外どこでもいいのかもしれないなと思ったのでした。









夕食は山菜やらをふんだんに使ったお料理でした。





都会から離れてみないとこの感覚は味わえないのだと、痛感しました。






それから部屋に戻り、僕は君に後ろから目隠しをしました。






「どうしたの?」と聞く君に、

そのままついてきてと言って窓辺まで行き、

カーテンに閉ざされていた窓をガラリと開けました。







外の空気は、心地良いとは言えない風な生温さでした。






僕は目隠しを解き放ちました。








そして「上を見て。」と言いました。









「うわぁぁぁ!!!!すごい…綺麗!」





下界とは違う澄んだ空気の中、空いっぱいに広がっていたのは、炭酸の泡を散らしたようにキラキラと瞬く星々と、降り注ぐ流れ星でした。







「今日はペルセウス座流星群なんだよ。どうしても見にきたくて。」







「東京じゃあこんなに見えないもんね。他が明るすぎて。星って綺麗だなぁ…」









星が綺麗だという君は、その星々をプラネタリウムのように映した君の瞳の方が綺麗だったことを知らないでしょう。







そんな君の瞳をずっと隣で見ていたいと、君の手を少しだけ握りました。






君は僕から顔を背けて、
少し震える声で「ありがとう。」と言いました。








僕は星を見て、感動してくれたからこそ、

声が震えているのだと思っていました。



















この時は。



















僕がその声の震えが、君の負の感情方面から来ていたのを知るのは、もっとあとの話でした。

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作者名:ロマネスコ | 作成日時:2018年11月11日 17時

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