女として生まれた俺は男として生きることになりました 弐

診療 弐 ページ10

胡蝶｢じゃあ次、あなたの体重のことですね。

単刀直入に言うと、細すぎです。足りません。
あなたは女性の中でもそこそこ身長が大きい方だと思います。現に女性の平均身長は149センチメートルです。163センチのあなたは十分に大きいと言えるはず。

そして背丈があれば筋肉量も多くなり、それに乗じて代謝も良くなる。ということはつまり、それを補うために食べなければならないのですよ。

男装をしていたあなたのことですから、きっと食べると全体的に体が丸い形になるのが嫌だったんでしょうが.....月の障りも来ていないんじゃないですか？
もう15歳ですし、体の他の発育具合から考えても来ているのが普通かと思うのですが...。｣




『...一度もないです。私には来ないんだなぁ、来ない方が楽でいいなぁとは思ってましたけど。』




胡蝶｢おそらくあなたの場合は、栄養が足りていないことが原因だと思われます。

栄養が足りていない状態で激しい運動をすると、余分な体力を消耗しないために本来行われるべきものが停止してしまうことがあるんです。
月経というのは大なり小なり体力を必要とします。だから極度に栄養が不足すると月経は来なくなったりするんです。

そして...さっきあなたが言っていたように、月経は''今は''必要ないのかもしれない。血の処理には困らないし、生理痛に悩まされることもないのですから。

でも目の前にある楽ではなく、遥か先にある未来を見据えるべきです。今まではずっと男として生きるんだ、と思っていたから誰かと結婚して幸せになる.....ましてや子供をもつなんて考えもしなかったでしょう？

でもね、羚凰さん。もうそういうのを諦めなくていいんです。あなたも上辺を取り繕っていても結局は女性です。そんな幸福を見て見ないフリをしていたでしょう？

どうか心のままに生きて欲しいんです。でも、その未来を叶えるためには、しっかり栄養を取って月経が来るようにならなくては...
このままではあなたにやや子は出来なくなってしまうんですよ？


まずは食べるところから始めましょう。しっかり体を作れば、今までより力だって強くなる。そうなればこんな怪我をしなくなるでしょうに...｣





『ごめん、なさい。』




胡蝶｢体は大切にしなくては...こんな仕事をしているから体に傷は付き物です。でも、できる範囲でできるだけ大事にすればいい。もっと自分を大事に、ね？｣

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