女として生まれた俺は男として生きることになりました 弐

診療 ページ9

胡蝶｢じゃあ私から診察結果を報告させてもらいますね。

君が意識を失った時、失血がかなり多かったので一時危ない状況でした。増血剤を点滴しながら止血しましたが思ったよりも背中の傷が深かったんです。
まあ何とか一命を取り留めて今に至りますが。

見ての通り左脚と右腕は完全に骨折です。固定しているので安静にしてください。

血反吐が出るくらい損傷の激しかった気管は、薬の効果と10日間寝ていたことでとても良くなったので、そこまで不自由は感じないでしょう。｣




『私10日間も寝てたんですか…本当に申し訳ない。』




胡蝶｢大丈夫です。それが仕事ですから。
それよりも…あなたに注意しなければいけないことがあります。


サラシのこととあなたの体重のことです。

まずはサラシのことから話しますね。羚凰さんはこれまで、胸を潰すために過度にキツくサラシを巻いていましたね？

サラシは胸を適度に固定したり、そこそこ胸を潰すために使います。動きやすくなるし、それに関しては私も良いものだと思いますよ。

でもね、物事なんでもやりすぎは体に毒です。あなたの胸は幸か不幸か、全く小さくありません。その大きさをあそこまで潰すには、それ相応の痛みや気持ち悪さが付きまとったでしょうに…あなたはそれを続けました。

その影響で、あなたの肋骨は他の人より少しだけ内側を向いています。骨が折れはしないものの、少しずつ時間をかけて曲がったのだと私は考えています。西洋ではそのように肋骨が曲がって亡くなった方もいるのですよ。

このままあんなふうにサラシを巻くのは危険すぎます。この国で最近流通し始めた乳房バンド…西洋ではブラジャーと言うらしいものをおすすめします。

1度つけてみましたが、かなりいいものだと思います。これなら自分で締めすぎてしまうことはないでしょうから。良くなったら一緒に街に行ってみましょうか。｣




『そんなものがあるんですね…知らなかった。しのぶさんがおすすめしてくれるなら安心です。』




胡蝶｢くれぐれも胸を潰す為のものでは無いことを心に留めておいてくださいね？支えるものです。用途を間違えばなんだって凶器になるんですよ？｣




『うぅ…言葉もありません…』

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