受け入れる ページ8
ふわっと意識が上昇して、瞳が蝶屋敷の木造の天井を捉えた。
どうやら生と死の間をさ迷ったけれど、死ななかったようだ。
やっと、父さんと母さんに会えた。
ずっと謝りたかった。俺だけ生き残ったことを。
望まれた存在になれなかったことを。
許してもらえて、本当によかった。
これはまた俺の勘だけれど、母さんたちの言っていた真実とやらを知るためには俺が女であることを受け入れなきゃいけないと思う。もうきっと皆にバレてしまっているし…
嫌われないために、母さんたちが俺を見ても嫌な視線を寄越さないように…そうやって自分を守るために今まで男として生きてきた。
ずっと怖かった。男として生きるのをやめて、天国の父さんと母さんが許してくれるのか。それで昔と同じ結果を生まないか不安だった。
でももう大丈夫。きっと今が潮時ってやつだ。
胡蝶「目が覚めましたか、北龍朱鳥さん。」
『調べたんですね…』
調べられていたとは…もうやっぱり決心するしかないと、努めて低く出していた声も元に戻した。
胡蝶「はい。声も低めに出していたんですね。そんなに可愛らしい声なのに。」
『約束、だったんです。父と母との。
私は、私は男として生まれて来るのを望まれていたんです。家の家業を継がなきゃいけないからってずっと言われて…
でも父と母は悪くないんです。寧ろ私が悪い…母は親戚からの罵詈雑言を浴びせられていたようですし…。
それで、母は気を病んでしまって…仕方なかった。私が男として生きないと生きていけないほど母は病んで、父が私に提案したんです。
治療してくださったならこの傷も見てしまいましたよね…』
私は胸元を少しはだけさせて左の胸の辺りを晒す。
そこにあるのは、
胡蝶「はい。少し吃驚しましたけどね。それは…火傷の痕でしょうか?」
『そうです。囲炉裏にあった火かき棒で母に。
見てもらえればわかるんですけど、このままあんなのが続けば俺はきっと今生きていられなかったと思います。命が危なかった。だから仕方ないんです。』
胡蝶「そうでしたか…。辛かったですね。気持ちはお察しします。
少し重い話になったので少し話を変えましょうか。
君は今、どちらで呼んで欲しいですか?」
『羚凰…羚凰のままでお願いします。もうこっちで呼ばれ慣れてますし、いい思い出も多いので。』
胡蝶「わかりました。」
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ロマネスコ(プロフ) - かりんさん» ありがとうございます!一応一週間に一回定期更新していますが、書ける時書けない時があるので長い目で見ていただければ幸いです(*^^*) (2020年8月31日 15時) (レス) id: 87cf8bc382 (このIDを非表示/違反報告)
かりん - 気になるぅぅ!応援してます! (2020年8月30日 20時) (レス) id: c30d21e2cb (このIDを非表示/違反報告)
(ー∀ー)イト - 説明文(?)の所に善逸オチとかいてありました。ちゃんと見ずに質問してしまってすみません!!失礼しました。 (2020年8月22日 18時) (レス) id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
(ー∀ー)イト - 質問です!こちらの作品は宇髄さんオチですか?? (2020年8月22日 18時) (レス) id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロマネスコ | 作成日時:2020年3月31日 21時