女として生まれた俺は男として生きることになりました 弐

理解できても消化できないこと ページ23

父さんと母さんと私との問題はもう決着が着いたと思ってた。でもさ、やっぱり人はそんな簡単に変われないんだよ。


理解はできても消化しきれないことって、あるんだよ。







私は、もう1人になりたくない。私がいるんだって認めて欲しいし、必要だと思われたい。


そのためには、何か出来て役に立たなきゃ。必要だと思われるくらい役に立たなきゃ駄目だ。






私には愛が分からない。必要とされることが愛だと思って今まで生きてきた。だから要らなくなったら愛もないってことでしょう？







元々私は''要らん子''。


母さんはあぁ言っていたけど、でも私がいることで、私が俺でなく私でいることでそう思っていたのは事実だ。

だったら自分に付加価値をつけて、認めてもらうしかないじゃない。愛してもらうしかないじゃない。







だからやらなきゃいけないんだ。

そう、思うのに。





なんで出来ないの。なんで。なんで。




なんで息が苦しいの。なんで身体がこんなに痛いの。

なんで動けないの。









悔しくて、悲しくて、寂しくて涙が出てくる。






もう、駄目かもしれない。私は、駄目な子かもしれない。




口から漏れる嗚咽を押さえつけようとして、また息が苦しくなる。霞んでいた視界の淵がいよいよ黒くなってきた。


もう、立てない。






カヒュッカヒュッと息を吸うばかりで少しも吐けない。苦しい。



誰か、たすけ、て。








完全に視界が黒くなる直前、ちらりと見えたのは黄色い蒲公英のような髪をした彼が走って来るところだった。

たすけたい ※善逸視点→←自主鍛錬

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す