女として生まれた俺は男として生きることになりました 弐

自主鍛錬 ページ22

炭治郎｢羚凰なら似合うと思うぞ！｣


『ありがとう。

禰豆子ちゃんは、幸せだね。こんな優しいお兄ちゃんがいてさ。鬼になったって、変わらず家族として愛し続けてもらってるんだもの。

これから禰豆子ちゃんのことで色々あるかもしれないけど、私は味方だから。なんかあったら頼ってよね？』



炭治郎｢あぁ、もちろんだ。困った時はお互い様だな！｣



『うん。よし、じゃあ寝ますかね。明日も鍛錬だ。機能回復訓練頑張ってね。

全集中の呼吸を忘れないで。

優しくしてもらったお礼に、私から攻略の手掛かりだよ。早く終われるといいね。じゃあおやすみ。』



炭治郎｢あぁ、おやすみ。｣


＊.｡.:*･ﾟ＊.:*･ﾟ＊.｡.:*･ﾟ＊.:*･ﾟ＊.｡.:*･ﾟ＊.:*･ﾟ


さて、今日から本調子に戻るまで自主鍛錬だ。



私にはひとつ気になることがあると前にも言ったけれど、言わずもがな呼吸のことだ。

今まではキツく巻いたサラシで肺が圧迫されていたのに、それを無理やり使っていた。それ故に、圧迫が無くなった時の全集中の呼吸の調節が不安なんだ。


機能回復訓練では常中を主としてあまり激しく呼吸を使わないようにしたからそこまで難しくなかったけれど、技を放つとなればもっともっと深い呼吸が必要だ。



蝶屋敷の三人娘ちゃんたちに持ってきてもらった巻藁を前にして刀を構える。





それから数日はひたすら鍛錬、ご飯、鍛錬、ご飯、鍛錬、ご飯、刀の手入れ、睡眠の繰り返し。


思うように刀が動かない。こんなにやってるのに。

思うように体が動かない。こんなに鍛錬してるのに。


加減が難しくて、連続で切りかかる時に踏み込みすぎて吹っ飛んでしまう。今までと同じように目一杯呼吸していると、目的のところで止まれない。

わかってる。わかってるけど、咄嗟に癖が出てしまう。



早く、早くこんなの終わらせて任務に出たいのに。みんなの役に立ちたいのに。

焦れば焦るほど制御出来なくなっていく。でもやるしかなくて、やるけど出来ない。


こんなので任務に行ったらそれこそお荷物、役立たずだ。




役立たず...役立たずなんかになりたくない。

みんな期待してくれてる。無下にしたら駄目だ。




呼吸が苦しい。視界が霞む。


でもやらなきゃ。もう二度と親しい人から言われたくないんだ。役立たずなんて。

理解できても消化できないこと→←髪結い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す