廉 ページ9
それからは色々あった。
例えば。
「紫鶴。貴方は今日からアラックを名乗りなさい。」
「ん？コードネーム？こんな簡単に貰っていいのか」
「貴方は素性がハッキリしてるし…スカウトしたのもコードネーム持ちだから。これはボスの判断よ」
こんな感じで1年もせずにコードネームを貰い。
「アラック。○△企業が金を持ち逃げしやがった。」
「生かしたままの方がいいか？」
「消せ」
「了解。」
裏切り者が宿泊するホテル(組織の息がかかっているがこいつは知らない)のボーイに成りすましてワインを部屋に持ち込むフリしてナイフを一閃。
夜戦も室内戦も弱体化する太刀の身でこんなことをすることになるとは思わなかったが、暗殺者まがいのことも色々やった。
ストレス発散の手段があるだけで精神も平常(刀としての)に戻り、世界が明るく見える気がする。
「なあウォッカ、俺に向いてそうな職業なんかないか？」
「フン。まともな職にお前がつけるとでも？」
「うるせえ！俺はジンじゃなくてウォッカに聞いてんだよ！」
「そうだな…人斬り？」
「まともじゃねえし！」
「そうねえ。ならお医者様にでもなったらどう？外科医なら手術もあるし」
「ベルモット…！天才だなきみ…！」
そしてこういう流れで進路を医者に絞り。
「あれあの子ら…」
俺は東都のある場所で伊達の2振を発見した。
意外と近所に住んでいたことに気づかなかったことにも驚いたが、2人はまだ未就学児といった風で記憶もまだ戻っていなかったので、近所の兄ちゃんとして遊んでやっていた。物心着いた時に俺の事を覚えているかも五分五分だろう。
でも、この2人に会う少し前に俺はアメリカの大学に進路を変更していたので1年と少ししかともに過ごせなかったのだが。
こんなことなら東都内の大学にしとくべきだったか…？孫がかわいい。
「Mr.五条！キミは最高だな！なんであんなに素早く手が動くんだい？医者はキミの天職だよ！」
アメリカでもそこそこ技術が認められ、ついに執刀医を任されるようになった。この国は実力至上主義なところがいいな。
ちなみに医者としては«五条紫鶴»を名乗っている。陵は墓を表す漢字でもあるので医者としてはどうなんだ？と思ったのもある。善行を積むなら五条の親父殿の名前でやりたいと言うのもあったし。
名前の件は組織の奴らも賛成してくれた。裏で生きるなら名前はいくつかあった方が楽らしいしな。
そして現在。時は巡って、俺は32歳になった。
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作者名：トイプードル | 作成日時：2018年10月30日 8時
