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『…ちょっと、後ろの強面の人…こっちに来てください』


「俺か?」


『そうです』


ちょっと影に引っ張ってきて班長、と声を出せば班長がびっくりした顔をした。
私は私で地声で外で喋るのは緊張するからついピリピリしてしまう。普段は発声の仕方を変えたり、酒焼けで誤魔化しているのだ。…変声機が欲しい今日この頃。


「あいつからこっちに戻ってきてるっては聞いてたが…」


『あ、そうなの?っていうわけで、ごめん。今偽名で生活してるから、警察関係者に免許証とか見せる訳にはいかなくて…あっちの刑事さんにもうまく誤魔化しておいてくれない?』


「それはわかったが…どこかに行ってたのか?」


『怪しいホストクラブで調査してきた帰り道なんだ』


「あいつは元気か?」


このあいつ、がレイではなくてヒロのことを言っているのはわかる。


『元気だよ〜。多分今は家で寝てると思うけど』


「そうか。ならいいんだ。まぁ落ち着いたらな」


『はぁい。班長も彼女さんとお幸せにね』


そろそろ話を切り上げないとまずいかな。
もう1人の刑事さんが心配そうにこっちをチラチラ見てるし。
と、思った時だった。
すごいスピードで走ってきた車が私たちの横をすり抜けて、突き当たりの電柱に派手に突っ込んだ。
一瞬なにが起こったか分からなくて、でも明らかにまずい状況ではあって。
運転手は即死かもしれない。


『ほんとごめん、班長後の処理お願いしてもいい?』


「あぁ。気をつけて帰れよ」


『うん!』



班長と別れれば、家はすぐそこだ。
尾行とかをされてないことを確認しながら家に入れば、リビングには電気がついていて。


「あ、おかえり」


『起きてたの?』


「んー待ってた。明日…ってか今日か、今日はずっと在宅だし」


ほっぺたに手が添えられて、冷たい、なんて言われる。


『…寒かった。ただかなりお酒飲んだしお風呂入るのもなぁ』


「飲んだの?相変わらずまったく顔に出ないな…。じゃあココア飲む?着替えておいで」


『うん』


ココアにマシュマロが浮かべられて、毛布も一緒に渡されるから、本当に甘やかされていると思う。
こんな生活がもうすぐ2年近くになるから、私1人でなにもできなくなっていたり…なんて恐ろしくなる。


『…至れり尽くせりだぁ』


「そんなことないよ。Aもかなり俺の事甘やかす」


『………そう?』


「そうだよ」

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LieN - この作品すごく好きです!!更新楽しみに待ってます!!(o^∀^o) (2022年6月21日 14時) (レス) @page8 id: ece7746fe0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/  
作成日時:2022年6月12日 17時

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