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珍しく人に対してポジティブな気持ちを抱いたからなのかなんなのか、私といつぞやの5人が話すようになるのにそう時間はかからなかった。


諸伏くん、萩原くん、班長(そうやって呼んだら、お前の班長じゃないって言われたけど)はそもそも他人に対して好意的なタイプだったし、松田くんも拳銃の直し方をアドバイスしたことからあれやこれやと話しかけてくる。
私が詳しいのは拳銃だけだから、と分解を一緒にしようという誘いは丁重にお断りした。


もう1人、なぜか未だに警戒心を見せてくる猫さん。
…組織にいた頃の彼…バーボンはハニートラップがお得意の探り屋だって聞いたけど、あなたそれじゃハニートラップどころじゃないでしょうよ、と思う。
…強調性皆無で単独行動ばかり割り当てられていた私にそう言われるのもなんだかな。



「お前って狙撃ほんとにうまいよな。それ以外は普通だけど」


『あれ、すごく自然に喧嘩を売られているような気がする。買おうか?』


お昼を食べながら、松田くんに返事をする。
癒しの班長が今日は呼び出しでいなくて、先に食べている4人と私。
なんだかなんとも言えない空気が漂っている気もするが、そこは松田くんがズカズカ話しかけてくるからあまり気にしていなかった。


「陣平ちゃんに喧嘩売るのってあんまりオススメしないけどなぁ」


『待ってよ、売ってない売ってない。売られたのを買ってるだけだって』


それに、と続けた。
流石に男子に勝てるってほど己の能力過信してないけど、これでも女子の中では逮捕術負けなしなんだよ?


そう言うと4人がちょっと意外そうな反応をした。
…嘘でしょ。



そんな感じでまぁそこそこ和やかにご飯を食べている中…
まぁ、水を差すやつがいるんだなぁ。



彼らは降谷くんの容姿が気に入らないのか、文句を言いながら横切っていく。
ちなみに私も、彼に負けず劣らず派手な見た目だとは思うんだけどなにか言われたことはない、不思議。
彼自身は慣れているようで特に気にした様子もないけど、そういうのって卑怯で姑息。
悪どい組織にいたが、そういう手口は最期まで好きになれなかったし、組織に染まりきれなかった部分だ。



『…そういうの、ダサいからやめた方がいいと思うけど』


思ったより大きい声が出てしまったが、今更後には引けない。
2人が戻ってきてあることないこと…いやこの場合ないことないこと並べ立てる。



腹立つなぁ。
そう思いながら私は水の入ったコップを手に取った。

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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/  
作成日時:2022年5月29日 7時

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