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…あれ？
座り込んだはいいものの、今度は立てないことに気がつく。
…そういえば、最近は緊張しすぎてろくに食べてもいなかったし、水分も取ってなかったし、眠れてもいなかった。
脚にまったく力が入らなければ、手もびりびりと痺れているような…なかなかにひどい。
「…立てる？」
いつの間に降りてきてくれたのか、そう聞いてくれた優しい声に、この声がまた聞けてよかったな、なんて思う。
いつもならだいたいのことは大丈夫、って答えるけど…。
『…無理、かも』
じゃあちょっと脚伸ばせる？って言われて、言われた通りにすると、ふわっと体が浮いた。
ぼんやりした頭では何が起こったのか一瞬分からなくて、ちょっと経ってからお姫様抱っこだと気付く。
『……これ、重くない？』
「むしろ軽すぎるからもっと食べて」
まぁそんなこんな、なやり取りがあって。
この後FBIの人たちがきて、色々と偽装するから…とライの説明を聞いていた時、ふと思い立ったようにライが私を見た。
「彼女の死も一緒に偽装するか？」
『はっ？！何言って…』
慌てて出した大声が自分の頭に響いて顔をしかめる。
…頭が痛い。
「スコッチの潜入がバレたなら、次に真っ先に疑われるのは『シンフォニー』だと思うが」
『なんの話…？それを言ったらバーボンとかの方がよっほぽど疑われるでしょ』
「…おい。もしかして、2人とも知らないのか？」
レイの質問に首を傾げる。ヒロをチラッと見るが彼も似たような顔をしていたのでよくわからない。
説明してよ、という目を向けるとレイはため息をついたあと、「2人はそういう関係だって組織の中では認識されてるから」と言った。
…そういう関係とは。
いやいや、まさか、とは思うが。
『…この組織、もしかして間抜け？そんな理由で人を疑うの？』
「疑わしい奴は罰するみたいなのがモットーの奴がいるからな、不思議じゃない」
「え、なに？全然わかんないんだけど、俺だけ仲間はずれなのか？」
2人が教えてやれよ、みたいな目を向けてくる。
仲悪いくせに変なとこで団結しないでよ！と思う。
ってか、いわゆる情報屋の『バーボン』がそういう変な話を知っているのはともかく、『ライ』が知ってるってなると相当な人にそうだと思われてる。
…恥ずかしすぎないか？事実無根なのに。
『…恋人だって思われてるってことだよ』
「え？！なんで？！」
『…知らない』
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作者名：雨宮 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時：2022年5月29日 7時
