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『…付き合ってないよ?』
「…マジで?」
『マジで』
まぁ、みたいな変な反応してくるの笑ってしまう。
『…私、なにも言っていないし、向こうからもなにも言われてもいない』
…私の事を好きでいてくれたらいいな、とは思っているけど。
私にも向こうにもやらなきゃいけないことがあって、今はお互いそのことに必死だし。
「なんか大変なことになってんだなぁ。あ、降りてきた」
手のひらで爆弾を転がしながら松田くんが降りてくる。
…見た目やばいのでやめてほしい。
「解除できた〜?」
「問題ねぇ。昼間のがエグすぎて、楽に見えた」
「あーまぁあれはな。ところで、それどっかで見たことあるなーと思ってるの、俺だけ?」
「や、これ4年前のあれだろ」
同一犯か?と首を捻る2人の姿が警察学校にいた頃と変わっていなくてなんだか安心する。
『…申し訳ないんだけど、あと、お願いしてもいい?なんか上にうまいこと言っておいて欲しいの』
「まぁ、これ別にハム案件じゃねーだろうしな」
『やっぱりバレてるんだなぁ』
「いや、流石にわかるだろ。まったく連絡してこねー同期が3人。警察やめた、なんて噂になってもいるけど、お前らが警察やめて誰がやるんだよ」
…あー、なんか改めて私、ちゃんと警察に見えてるんだなぁ、なんて感動する。
最近なんかもう吹っ切れて忘れていたけど、組織の人間だったことがあるくらいだし。…忠誠心なかったけど、人に言えないようなことをたくさんしたことに変わりはない。今も昔も。
『…今更かもだけど、潜ってるんだ。だから前に会った4年前の時もあんまり人目につけなくて』
隙を見ていなくなってごめんね、と謝れば2人はびっくりしたような顔をした。
…え、それどういう反応?
「…危ないことになってねぇのか」
『…まぁ、ないわけじゃないんだけど。今のとこ大丈夫。…悪運強いんだよきっと』
「こんな華奢な女の子が潜ってるなんて信じられねぇ」
『…ありがとう。ストレスはあるけど、なんとかやってるよ』
ごめん、そろそろ行かないと、と言えば、松田くんがお幸せにな、って言ってくるから意味が分からない。
でもなんか嫌な予感がしたので、私はその場を離れることにした。
…せっかくの休みがおばあさんと引ったくりと爆弾で潰れた。
…有給再申請しようかなぁ。
「あ。2人、付き合ってないらしいよ」
「バカがつくほど真面目だから潜ってる最中なんて無理だろ」
「それもそっかぁ」
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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時:2022年5月29日 7時