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11月6日。
休みの日に、珍しく私は買い物に出ていた。
といっても昼過ぎの人の少ない時間帯に、変装しているという条件つきだけど。
最近まともに休んでいなかったから、色々買わなきゃいけないものがあるのだ。
車を走らせてショッピングモールに向かっていると、道端で転んでいるおばあさんを見かけた。
…ここでスルーできないから、私はいつもいつも…とは思うが、結局そのおばあさんは怪我をしていて、病院に送ることになってしまった。
平日だけど米花中央病院はそこそこの人がいて、受付におばあさんのことをおまかせして帰ることにする。
『…なんだ、あれ』
待合室の椅子に、紙袋が立てかけられている。
忘れ物だろうか?と思う。
有名な製菓会社の袋だし、お見舞いに誰かが持ってきたやつか?だとしたら忘れるなんてずいぶん間抜けな…と中身を見てみると…
『…わぁ』
これは、爆弾だ。
なんで、ここに、こんなものが。
タイマーはまだ24時間以上余裕がある。
誤爆する可能性もあるので、私はそれをそっと回収すると、公安の後輩を呼んで、爆処の人に渡しておいて、と紙袋を手渡した。
爆破予告でもあるの?と聞けば、そんなものはないらしい。
もしかして爆弾じゃないのか?と思うけど、そこら辺は解析を待ってみてからでも遅くない気もする…。
疑問を持ったままショッピングモールに着けば、もう4時を回っていた。
いくら平日とはいえ、夜遅くなるとまた人が増えてきてしまう。さっさっと買い物して帰ろう。
そう思っていると、今度は目の前で引ったくりが起きてしまった。
『警察の目の前で、とはまたずいぶんいい度胸してるじゃない』
…あーもう、あんまり目立ちたくないんだけどなぁ。
一応変装してるとはいえ、公安が表立って引ったくり捕まえた、なんてまた風見さんとかに怒られる。
お客様の中に警察の方はいませんか〜?!と叫びたくなりながら、私は引ったくりの腕を締め上げた。
犯人を追っていたら、ちょうど大観覧車の近くで捕まえることになってしまい、また人目を集めてしまったのは大いに反省している。
警備員さんに引き渡していると、大観覧車の中から変に挙動の怪しい男が降りてきた。
そういう偏見は良くない、と散々分かっているんだけど。
おじさんが?1人で観覧車に乗る?しかもこの時間に…
話を早々に切り上げて、私も彼が降りてきた観覧車に乗り込んだ。
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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時:2022年5月29日 7時