転生したら黒の組織から警察官になりました【警察学校組】 (ページ5)

今日:22 hit、昨日:167 hit、合計:216,938 hit

04 ページ5

全てが一瞬の出来事で、その場にいた人間はみんな固まってしまった。
私は私で…あのおじさんに思い入れはまったくないが、このままの状態を見過ごすのはあまりにも気分が悪い。
どうしたら、と思っていると1人の男が声を上げた。

｢おい、お前ら…。やる事は…分かってるよな？｣

｢拳銃…｣
｢弾…｣
｢射撃…｣

｢俺は土台…｣
｢じゃあ俺は土台の上のつっかえ棒かな？｣

みんな固まっている、と思ったがどうやらこの5人はそうじゃないらしい。
その5人の中にはバーボンも、私を庇おうとしてくれた黒髪の彼も、松田くんもいた。

2人のうち1人が土台になって、例の黒髪くんがその肩に飛び乗って気絶した作業員の体を支えている。
松田くんは床に座って拳銃を組み立てていた。
どうやら分解するだけじゃなくてきちんと元に戻せる技量もあるらしい。
私はなにもしなくていいかな、と思っていたが…

『ねぇ、松田くん』

「…あ゛？なんだよ今話しかけるべきじゃねぇことくらい、ガキでもわかるぞ」

『…口が悪いな。まぁいいや。そこより先にこっちを直した方があとからスムーズだと思うってことを伝えたくて』

「…あー…やっぱりか、悪い助かった」

いえいえ、そう言って彼から離れる。
紛失したと思われていた弾は、少し髪の長いの機転によって無事見つかり…
その弾はバーボンの手に渡った。それと同時に松田くんも完璧に直った拳銃を差し出す。

｢外したらブっ殺すぞ…零！！｣

金髪の彼は、正確に命綱を撃ち抜いた。

落ちてきた作業員とおじさん。
おじさんは咳き込みながらも、意識には問題ないらしい。
無事がわかるや否や、その場は歓声に包まれる。

そっと離れたところで、また傍観者に徹していた私は思わず口笛を吹いた。

『…すごい5人だな』

彼らみたいな優秀な警察官がいるのなら…
あの組織も潰せるかもしれない、そんな小さな希望を抱かずにはいられなかった。