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コードネームはライ。
確か本名は…赤井秀一。FBIの人間で、正真正銘世界一のスナイパーだ。
記憶が曖昧なのは彼と組織がやり合った時期と、私の最期が微妙に重なっているからだろう。
だからあの事件がどんな顛末になったのか、私はよく知らない。
ただ彼は色々やらかしたようで、上の人間はもうめちゃくちゃキレていた。
全員に彼の存在を知らせるようなメールがきていたし、私でも彼の顔は知ってる。
そうか。FBIを味方にするっていう選択肢は、なかったな。
組んでいるなら、NOCがバレた時始末を命じられるのはスナイパーの彼かもしれない。組んでいた人間を始末するというのは、より組織への忠誠の証明にもなる。
…私も、やったことがある。前世でだけど。
…何はともあれ、問題は彼が味方になってくれるかだ。
めちゃくちゃ入念に準備しないと。
「どうした？怖い顔して」
『えっ、あ、ごめん。考え事してた』
私の髪の毛で遊んでいた指はそっと移動すると、私の目元を優しく撫でた。
「…今日は顔色悪くないね」
『顔色悪いのはスコッチだよ。本当は薬飲ませたかったけど１回寝る？すごい眠そう。…まぁ水分は取ったし』
「シンフォニー、帰らない？」
『うん、まだいるよ』
ならいいや、と笑った彼は目を閉じた。
風邪引いてるからだろうけど、少し子供っぽく見えるなぁ、と思いながらぐしゃっとなった前髪を直してあげる。
人の家の冷蔵庫を見るのは気が引けるけど、ちょっと見させてもらおう。
ヒロが起きた時になにか食べるもの作ってあげられるかもしれない。
『…あー、とその前に』
電話しようと思ったが、公衆電話からかけてきた人間に電話が繋がるとは思えない。
どこで危ないことをしているんだろう、まったく。
私はレイにメッセージを送った。
『私に警察手帳、渡してくれない？』
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作者名：雨宮 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時：2022年5月29日 7時
