転生したら黒の組織から警察官になりました【警察学校組】 (ページ33)

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『ったく、信じられない！』

私の怒声は車のドアを勢いよく閉めた音でちょっと消えた気がするが、まぁ仕方ない。
ヒール折れてないな、よしよしと思いながらそのまま車を走らせる。

「あら、遅かったじゃない」

『誰のせいよ！』

隣の助手席で優雅に笑うベルモットに文句を言うが、彼女はどこ吹く風って感じだ。

『あー…すごい久しぶりに命の危険を感じた…』

「その割には元気そうだけど？」

『そう見えるなら眼科に行くことをオススメする』

車を走らせながら、追っ手がいないことをミラーで確認する。
今日の仕事私がいる意味あった？！と言ってもベルモットから返事はない。
散々囮に使われた挙句車まで出してるんだ、自分が可哀想すぎる。まぁ文句を言いつつかすり傷もないんだから我ながら悪運が強いな、とは思うけど。

「そういえば最近、貴女に関する面白い話を聞いたの」

『私は今の質問に答えて欲しかったんだけど？それってなんの話？』

「…にしても今日の貴女、いつも雰囲気が違うのね」

『さっきから私の質問に何一つ答えてくれないんだけど、なに、今日はそういう日なの？』

「桜のネックレスをつけて、同じ系統の色のドレス。…あぁ、日本人だっけ？貴女。見えないけど」

『生まれたのも育ったのも、なんなら国籍も全部日本よ！何年も帰ってないから、桜が懐かしくなって買ってみただけ。まぁもう桜の季節は終わってるけど』

…半年前だ。
空港に行くヒロと別れた帰り道に、店先で一目惚れして買ったネックレス。
ずっとつける機会を待っていた。
なんでかっていうと、ベルモットの前でつけないと意味がない。

『桜ってアメリカでも人気なのね。人がみんな違う目で見てくるから驚いたわ。……ねぇ、ベルモット』

「なによ」

『桜が懐かしくなったの。…ねぇ』

ちょうど信号で止まったから、隣を見て、思いっきり不適な笑みを浮かべてみる。

『私が日本に行けるように、協力してくれない？』