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「Aってパソコンできたんだね」
後ろから覗き込む人が1人から2人になった。
覚えた、と返事をするが、手を止めることはしない。
こういうロックは見たことあるタイプなんだけど、所々変な癖がついててこれ作ったやつ絶対性格悪い、と悪態をつく。
『…開いた』
「「…すごい、映画みたい」」
ふふん、とドヤ顔しながらレイにパソコンを渡した。
ここから先は私の仕事じゃないと思う。
スクロールしていったレイの眉間にどんどんしわが寄っていくのを見ながらあぁ、ご愁傷さまです…と心の中で手を合わせる。
「…A、これ、どうやって開けた?」
『…あー、裏側から?そのロック、表から突っ込むより裏からの方が開けやすいの。…組織のやつと一緒』
うっかりぽろっと言ってしまうと、2人ははぁっ?!と声をあげた。
あ、やばい、怒られるぞ。と思ったが時すでに遅しとはこのことだ。
ねちねち責められる前にさっさっと自白してしまおう。
『…組織の構成員の情報が欲しくて、ハッキングをしかけたことがあるの』
それを聞いた2人はとんでもねぇ…とでも言いたげな顔をした。
どうだったの?と聞いてくるヒロにお手上げのジェスチャーをする。
『知りたかったことは得られたからいいけど、途中で変なウィルスに感染して、めんどくさかったからパソコンごと捨てた。適当なデータしかいれてなかったから、私だってはバレてないみたいだけど』
バレてたら、流石に今頃ここにはいないだろう。
下手にNOCだとバレるよりよっぽどまずいんじゃないか?
「知りたかったことって?報告受けてないけど」
『…ごめん、言えない。すごく個人的なことだから。でもそれを知らなくてもレイやヒロにはなんの不利益もない、それは約束する』
射抜くように見てきた青い目に、そのまままっすぐな目を返す。
じっと見つめ返すと分かったよ、とレイはため息をついた。
「…パソコン、借りてもいいか?じっくり読み込んでおきたい」
『どうぞ。別に返さなくてもいいよ、基本的に使ってないから』
ありがとう、と言ってレイは部屋を出ていった。
持ってきたはずのレイの荷物と、私のノートパソコンのケーブルを持って。
えっ、ちょっと待ってよ。
どこ行くの。
……この状況で2人きりになるの、めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。
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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時:2022年5月29日 7時