転生したら黒の組織から警察官になりました【警察学校組】 (ページ17)

今日:99 hit、昨日:31 hit、合計:216,848 hit

16 ページ17

Side K

「いてぇ」

「散々心配かけるからだ、1発で済んだことに感謝しろ」

電話をかけてきてくれたじんぺーちゃんと合流した瞬間に綺麗な1発をもらい、誠心誠意謝罪の真っ最中だ。
…いや、謝罪はほぼしてないな。

「そういえばさ、さっきAちゃんに会ったよ」

「は？さっき？」

「そうそう。俺、Aちゃんのキャリーケース持って降りてきたんだもん。じんぺーちゃんと電話してる間にいなくなっちゃったけど。ごめんね」

「なんで謝るんだよ」

「だって、会いたかったでしょ？好きな女の子に」

「はぁっ？！んなこた」

「いやいや、何年友達やってると思ってるの？流石に分かるって」

じんぺーちゃん、Aちゃんのこと好きだったもんね。しかも結構真面目に。
だった、っていう過去形なのは卒業する頃にはそんな気配はあんまりしなくなっていたから。

「…まぁ諦めた理由も、気付いたからだろうけど」

「東堂が誰を好きかなんて、全員気付いてただろ。気付いてなかったのは本人くらいなもんで」

「そーだね。いつ付き合うのかなぁと思って見てたけど、そんな雰囲気には最後までならなかったし」

穏やかな顔をして楽しそうに話をしていた2人を思い出す。
あそこだけ時間の流れがゆったりしていて、隙がなくて。
うちの教場のお姫様って言われていたあの子を独り占めしてる様子に少し嫉妬しながらもお似合いだな、なんて思って眺めていた。

「諸伏も東堂も、なんならあいつも全然連絡寄越さねぇ。どこで何してんだよ、ったく」

「…それなんだけど。Aちゃん、やけに人目を気にしてたんだ。別のやつから聞いた話によればあの3人は警察やめたって噂つき。」

「…ハムか」

「だろうねぇ」

「っし、今度捕まえて洗いざらい吐かせてやる」

「おっ、面白そう」

「まぁ先に俺らはこの現場の後処理だ。もう行けるか？」

「おうよ」

変わらないストレートなアッシュブラウンの髪が風に揺れる様子を思い出しながら、大切な同期が幸せになってくれることを願わずにはいられなかった。
…元気でね、Aちゃん。