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一緒に行くことを決めたのはいいけど、萩原くんを囲む女の子たちの輪に入るのは流石に無理で、後ろを歩いてた4人の傍を歩くことにした。
「おい」
『なぁに』
高めのヒールを履いているから、いつもより松田くんとの目線が近くなる。
軽く顔を覗き込まれてびっくりする。
「お前、目どうした。真っ赤だぞ」
あー…やっぱり散々泣いたから…
大丈夫かな、と思ったけど意外とバレるもんだな。
『泣いたのはそうなんだけど。悲しくて泣いたわけじゃないから』
「ならいい」
…よく見てるなぁ。
なんだかちょっと恥ずかしくなってくる。
そのまま適当な話をしながら歩いていると、手のひらをトントン、と優しく叩かれた。
そっちを見れば、心配そうな諸伏くんの顔がある。
今道の都合で前に3人、後ろに私と彼って構造になっていたから、必然的に2人きりで話してるみたいになる。
「…ほんとに、大丈夫?具合とか悪くない?」
『え、全然大丈夫だけど…なんかそう見えるような感じ、ある?』
「…普段よりちょっと上の空かな、って程度」
『……ごめん、話あんまり集中して聞いてはなかったかも。夢を見ているみたいだなって思ってたから』
「夢?」
『いいことがね、あったんだ。泣いたのもそれが理由だし。…でもほんとになんともない、心配してくれてありがとう』
「いやいやそれは全然」
諸伏くんもよく人のこと見てるなぁ。
…彼らに余計な心配はかけたくないので、もう少しシャキッとしよう、うん。
まだふわふわしていたいけど、そういう訳にもいかない。
2人とも心配してくれてありがたいと思ったし、同時に恥ずかしくもなったけど。
それ以上に、大丈夫?と聞いてくれた諸伏くんの顔と声が変に頭から離れない。
…どうしよう。
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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時:2022年5月29日 7時