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「こらぁ、東堂!拳銃持ったままぼさっと突っ立ってるな!」
東堂、なんてずいぶん久しぶりに呼ばれた自分の苗字にビクッ、と肩が跳ねた。
なんだかうまく頭が回らなくて、ぼんやりと辺りを見回せば、目の前には的。手には拳銃。そして日本警察の制服によく似た格好をした人がたくさんいる。
『…は?』
思わず間抜けな声が漏れたのは許して欲しい。
だって日本警察なんて私と…黒の組織のスナイパー・シンフォニーとは、1番縁遠い存在のはずなのに。
「東堂!だいたいお前は初日からぼんやりとしていて…」
隣からくどくどと鬼のような顔をしたおじさんがお説教をしてくる。
本当になんなんだろう…。
相変わらず混乱はしているが、どうもおじさんの話の流れ的に今は目の前にあるこの的を撃ち抜けばいいのだろうか。
拳銃で撃つなんて、だいぶ久しぶりだ。
うまくできるだろうか。
そう思いながら、おじさんの説教を遮るようにトリガーを引く。
最初の1発は感覚がつかめなくて微妙に外したが、残りは全てど真ん中に撃ち込むことができた。
『…こんな感じで合ってますか?』
おじさんに聞くと、おじさんはブツブツ文句を言いながら私の隣から去っていった。
「…そこまでの腕前とはな、どこで練習したんだい?」
隣から声をかけられてそっちを向くと、そこには綺麗な金髪に青い瞳の青年が立っていて…
私はその顔にひどく見覚えがあった。
(…確か…コードネームはバーボン)
組織にいた頃見たことがある。
…基本的に1人で仕事をしていた私は、話したことはなかった気がするけど。
…本当にいったいなんなんだ、この世界は。
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作者名:雨宮 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/aroute1351/
作成日時:2022年5月29日 7時