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episode9秋side ページ9

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 ココアを買いにコンビニへ戻ったついでに、幸太郎の大好きなプリンも買っていけば、あいつ、喜ぶだろうか。
 俺の勝手で待たせてるんだから、ほんのお礼だ。

 コンビニのスイーツコーナーで一番高そうなプリンと、ホットドリンクの棚からココアとミルクティーを選んでレジの店員に差し出す。

 袋にいれてもらったココアを取り出し頬に当てると、冷え性な俺にはありがたい温もりがじんと伝わってきて、そこから全身が温まるようだった。
 カイロ代わりの缶を袋に戻し、幸太郎の待つ場所を目指し店を出る。

 ふと、向こうから走ってくる見慣れた姿に気が付いた。
 幸太郎だ。

 待ってろと言ったのに来た理由が分からず、ぽかんとしていると、幸太郎は俺の手を引いて人の少ない通りに入った。


「こたろう、なにしてんだ?」
「ごめん、早川くんに会っちゃって。なんかしつこいから、ボロ出して秋くんに迷惑かける前に逃げてきた」
「え、ほんとか? うわ、なんか嫌だな、はやく帰るか」


 数分後、電車に揺られる俺は、手元の袋の中身をすっかり忘れていたことに気づく。


「こたろう。待たせて悪かったな、プリン買ったから帰ったらやるよ」


 幸太郎の眼前に袋を持ち上げると、プリンと聴いたこいつは嬉しそうに笑い、ありがとうと言った。
 ココアはさっき、電車を待つ間に飲み干した。
 飲んだら温かくなったが、やはり俺が1番欲しいのは、人の温もりだと思う。

 電車から降り、駅から徒歩5分の我が家に到着。
 204と書かれたドアを開ける。
 部屋数の多い、わりと良いアパートに入れたと思う。
 しかし、寒いものは寒いのだった。


「……寒い。こたろう。」
「ん。」


 子供体温なのか、かなりぬくぬくした幸太郎に抱きしめられている時が、今の俺には1番温かく感じられた。


「秋くん冷たいね、相変わらず」
「でもこたろうがあったかいから平気だぞ」


 えへへと笑った幸太郎に、また心が温まる。

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 土日更新出来なくてすみませんでした。

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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2017年2月21日 19時) (レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です! これからも更新頑張ってくださいね! 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/  
作成日時:2017年1月19日 21時

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