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episode27幸太郎side ページ29

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「……あー……」


 暇だ、何より不快だ。
 ついさっき秋くんと別れて、現在1人で街を徘徊中。
 僕がこうしている間、秋くんと早川がどんどん仲良くなっているのかも、なんて思うだけでなんだか腹立たしい。
 そして僕は、この気持ちの正体を知っている。

 嫉妬、それがこの腹が立ちつつそわそわしてもやもやする気持ちを表すのに最も相応しい言葉だ。
 擬音ばかりで何を言っているのかさっぱりな今の感情は、嫉妬というそのたった一言で片付くのだ。

 この3年ちょっと、秋くんの1番近くを独占してきたのだから、これくらい我慢しなければ。
 いずれは彼にも恋人ができたりするだろうし……その相手が僕でないことは明白だから悲しいのだが、彼の幸せは願いたい。

 そう、思っているのに。
 なのに、一緒に暮らしていると秋くんの良いところや可愛いところ、そればかり見えてきて、僕はどんどん彼に惹かれていくのだ。
 後戻りができなくなっていくのだ。

 あぁ、なんで。
 どうして、好きになってしまったんだ。
 叶うはずのない、あるはずのない未来を、夢見てしまったんだ。
 ただの友達のままでいられたら、こんなに寂しいこともなかっただろうか。

 それでも、好きにならなければ良かったと思わないのは、何故なのか。

 僕にはもうわからない。
 ただ、好きだから隣に居たいという、幼稚で単純な、たったそれだけの想いが、僕を動かすのだ。

 応援しよう。
 僕が傷ついても、僕が悲しくても、関係ない。
 僕は彼の中で、ずっと、最後まで友人の"こたろう"であり続けよう。
 きっと楽ではないだろうけど、それが彼に……秋くんにとっては、僕の想いを知らされるよりずっと楽だと思うから。

 秋くんのしたいことは応援して、いつか秋くんに好きな子ができたら応援して、今現在実行中のこの作戦も応援する。
 僕は秋くんの姿を見守る外野だ。
 彼が幸せになれる道をつくる手伝いをするんだ。

 彼の笑顔が、僕は好きだから。
 彼の笑顔に、僕は助けられたから。
 幸せであれば、彼の笑顔はそのまま輝いてくれるだろうから。
 その笑顔をずっと見られる、親友という特等席は、僕が頂こう。

 ただし、彼が選んだ道が、彼を幸せにしないのなら……


 __その時は、容赦しない。

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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 柚李さん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2017年2月21日 19時) (レス) id: 61bdcd300b (このIDを非表示/違反報告)
柚李(プロフ) - テストお疲れ様です! これからも更新頑張ってくださいね! 応援してます♪ (2017年2月21日 17時) (携帯から) (レス) id: 08c9ef1253 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾音日和。@たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/  
作成日時:2017年1月19日 21時

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