検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:8,802 hit

episode44 ページ7

.


 早川が肩に手を置いている。というか、これは、早川に片手で抱き寄せられている……?
 本当に女好きらしい。会ってまだ二週間かそこそこだ。そんな相手に普通こんなことするか、しないだろ。
 なんだか落ち着かない俺を乗せて電車は進む。もうすぐ駅に着きそうになったところで、幸太郎にもうすぐ帰ると連絡を入れると、すぐに返信が来た。
 家に幸太郎の姉が来ていて、今俺が帰宅すると都合が悪いらしい。一時間以内には帰るようなので、それまで時間を潰さなければいけなくなった。
 電車が駅に着く。俺たちが降りる駅であり、この辺りの一番大きな主要駅でもあるため、人の出入りが多くてごった返している。駅から出て、早川に今日はありがとうねと言われた瞬間、俺は早川の服の袖を握っていた。

「ふたばちゃん?」
「あのね。もし良ければなんだけど……もうちょっとだけ、一緒に居たいなって思って。……優くんと」

 うつむき気味に言うと、早川のクスッと笑った声。顔を上げるとそこには、嬉しそうな笑顔を浮かべた早川が居た。

「俺も思ってた。アイスとドーナツどっちが良い?」
「本当? ……ふふ、ドーナツ!」

 早川の目線の先には、サーティワンとミスドがあった。迷ったが、今日はもうソフトクリームを食べたので、アイスはやめておく。注文は
、俺がオールドファッションのチョコとホットココア、早川がフレンチクルーラーのチョコとコーヒーだった。俺はこれが大好きである。

「美味しいね!」
「うん、ねえ、一口あげるから一口ちょうだい?」
「えっ……それって」
「あはは。嫌?」
「嫌っていうか、恥ずかしいよ……」
「あーん」

 食べかけのドーナツを差し出す早川。美味しそうだ、だが何が悲しくてこいつと間接キスしなきゃいけないんだ。でも美味しそうだし、食べたいし、どうせ俺男だし、照れつつ食べた方が好印象だろうし……。
 そうこうしているうちに、手首を掴まれたと思ったら俺のドーナツを一口食べられた。もーらい、なんていたずらっぽく笑う早川。先手を打たれた。
 そっちがその気なら俺だって、と差し出されたままのフレンチクルーラーを一口。うん、美味しい、なんかもういいや。大したことない、これくらい。

「……ふふ、そっちも美味しいね」
「でしょ? ふたばちゃんのも中々美味しかったよ」
「うん、私のイチオシだからね!」
「今度からそれにしようかな」
「ふふ、仲間!」

 だんだん、自分が素で楽しんでいる気すらしてきた。
 そんな訳、ないよな。

episode45→←episode43



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:大小シリーズ , BL , 青春 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

綾音日和。@たこむし(プロフ) - 腐った林檎さん» ありがとうございます!なかなか更新できませんが、コメントとても励みになります! (2017年6月23日 18時) (レス) id: 88af71ac7b (このIDを非表示/違反報告)
腐った林檎 - 更新頑張ってください!このシリーズ大好きです♪ (2017年6月23日 17時) (レス) id: ad9b3355a7 (このIDを非表示/違反報告)
綾音日和。@たこむし(プロフ) - 抹雨喇らいとさん» ありがとうございます!気づくのが遅くなってすみません、更新頑張ります! (2017年5月15日 17時) (レス) id: 1e9658af6f (このIDを非表示/違反報告)
抹雨喇らいと - 引っ越すんですか!いろいろと大変かと思いますが更新ファイトです!応援してます(*´∀`)♪ (2017年5月8日 21時) (レス) id: f0fdb2d6f6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/  
作成日時:2017年4月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。