episode44 ページ7
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早川が肩に手を置いている。というか、これは、早川に片手で抱き寄せられている……?
本当に女好きらしい。会ってまだ二週間かそこそこだ。そんな相手に普通こんなことするか、しないだろ。
なんだか落ち着かない俺を乗せて電車は進む。もうすぐ駅に着きそうになったところで、幸太郎にもうすぐ帰ると連絡を入れると、すぐに返信が来た。
家に幸太郎の姉が来ていて、今俺が帰宅すると都合が悪いらしい。一時間以内には帰るようなので、それまで時間を潰さなければいけなくなった。
電車が駅に着く。俺たちが降りる駅であり、この辺りの一番大きな主要駅でもあるため、人の出入りが多くてごった返している。駅から出て、早川に今日はありがとうねと言われた瞬間、俺は早川の服の袖を握っていた。
「ふたばちゃん?」
「あのね。もし良ければなんだけど……もうちょっとだけ、一緒に居たいなって思って。……優くんと」
うつむき気味に言うと、早川のクスッと笑った声。顔を上げるとそこには、嬉しそうな笑顔を浮かべた早川が居た。
「俺も思ってた。アイスとドーナツどっちが良い?」
「本当? ……ふふ、ドーナツ!」
早川の目線の先には、サーティワンとミスドがあった。迷ったが、今日はもうソフトクリームを食べたので、アイスはやめておく。注文は
、俺がオールドファッションのチョコとホットココア、早川がフレンチクルーラーのチョコとコーヒーだった。俺はこれが大好きである。
「美味しいね!」
「うん、ねえ、一口あげるから一口ちょうだい?」
「えっ……それって」
「あはは。嫌?」
「嫌っていうか、恥ずかしいよ……」
「あーん」
食べかけのドーナツを差し出す早川。美味しそうだ、だが何が悲しくてこいつと間接キスしなきゃいけないんだ。でも美味しそうだし、食べたいし、どうせ俺男だし、照れつつ食べた方が好印象だろうし……。
そうこうしているうちに、手首を掴まれたと思ったら俺のドーナツを一口食べられた。もーらい、なんていたずらっぽく笑う早川。先手を打たれた。
そっちがその気なら俺だって、と差し出されたままのフレンチクルーラーを一口。うん、美味しい、なんかもういいや。大したことない、これくらい。
「……ふふ、そっちも美味しいね」
「でしょ? ふたばちゃんのも中々美味しかったよ」
「うん、私のイチオシだからね!」
「今度からそれにしようかな」
「ふふ、仲間!」
だんだん、自分が素で楽しんでいる気すらしてきた。
そんな訳、ないよな。
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 腐った林檎さん» ありがとうございます!なかなか更新できませんが、コメントとても励みになります! (2017年6月23日 18時) (レス) id: 88af71ac7b (このIDを非表示/違反報告)
腐った林檎 - 更新頑張ってください!このシリーズ大好きです♪ (2017年6月23日 17時) (レス) id: ad9b3355a7 (このIDを非表示/違反報告)
綾音日和。@たこむし(プロフ) - 抹雨喇らいとさん» ありがとうございます!気づくのが遅くなってすみません、更新頑張ります! (2017年5月15日 17時) (レス) id: 1e9658af6f (このIDを非表示/違反報告)
抹雨喇らいと - 引っ越すんですか!いろいろと大変かと思いますが更新ファイトです!応援してます(*´∀`)♪ (2017年5月8日 21時) (レス) id: f0fdb2d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たこむし | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時:2017年4月19日 23時