episode５１ ページ14
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一週間前ともなると、みんな体育祭に向けて練習を始める。高校だと中学とは違い、授業の時間を使っての練習はない。しかしやる気のある人を中心に、朝や昼休みを使った自主練習が行われるのだ。
ついこのあいだ一期末考査があった。テストを終えて嫌なことから開放されたので、みんな張り切っている。
俺が出るのはバレー。そして、クラスの代表三名ずつで行われるリレーにも選ばれた。そしてこのリレー、腹立たしいが早川も選ばれている。早川はリレーとバスケの掛け持ちだ。もう一人の選手とじゃんけんで順番を決めたところ、早川が二走で俺はアンカーだった。悪いが最後の華は俺がもらう、良いところを見せてやろう。
バレーの昼休み練習を終えて教室に戻る。歩きながら体育祭でキャーキャーと騒がれる自分を想像して、悪くないなと思った。むしろ最高だ。いつだって、俺は褒められるのが大好きだ。
そんなことを考えていた俺の耳に、キャーという歓声が飛びこんだ。妄想が現実になったのかと驚いたが、それは俺に向けられたものではなかった。歓声をあげた女子が見ているのは第一体育館の中である。
なんだなんだと覗いてみると、そこではバスケの練習をしていた。バスケ……まさか、とその姿を探す。
当たらなくていいのに、俺の勘は当たった。女生徒の歓声と視線を一身に浴びるのは、早川だった。
「早川くん運動もできるんだ、かっこいー」
女生徒は惚けた目で早川を見つめる。
俺は歓声を独り占めする早川に若干の苛立ちを覚えながら見てみる。
なるほど、わりと端正な顔立ちに真剣な表情、シュートを決めたときの嬉しそうな顔のギャップ。そういうルックスと、そしてバスケットボールというスポーツは相性がいい。いい男に見えなくもない、と俺は婉曲的な褒め方をした。
どうせ暇なので、あと五分ある昼休みをここで過ごすことにした。ぼんやりとバスケの練習を眺めていると、早川が際どいパスを出した。受ける側は準備をしきれておらず、ボールは受け止められることなくそのまま飛んできた。――俺のところに。
「うわっ」
ボールが腹にぶつかり、俺は数歩後退する。なかなか痛かった。
「立花くん！ 大丈夫、ごめんね！？」
大慌てで早川が飛んできた。心配してくれる程度の優しさはあるんだなと思っていると、早川は優しい笑顔を浮かべて言う。
「よかった……」
どき、と、そのとき確かに俺の胸は高鳴った。嘘だ、早川に心配されたくらいで、そんな……。
俺は、俺じゃなくなっていくみたいな自分に困惑していた。
続く
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綾音日和。@たこむし(プロフ) - 腐った林檎さん» ありがとうございます！なかなか更新できませんが、コメントとても励みになります！ (2017年6月23日 18時) (
レス) id: 88af71ac7b (このIDを非表示/違反報告)
腐った林檎 - 更新頑張ってください！このシリーズ大好きです♪ (2017年6月23日 17時) (レス) id: ad9b3355a7 (このIDを非表示/違反報告)
綾音日和。@たこむし(プロフ) - 抹雨喇らいとさん» ありがとうございます！気づくのが遅くなってすみません、更新頑張ります！ (2017年5月15日 17時) (レス) id: 1e9658af6f (このIDを非表示/違反報告)
抹雨喇らいと - 引っ越すんですか！いろいろと大変かと思いますが更新ファイトです！応援してます(*´∀`)♪ (2017年5月8日 21時) (レス) id: f0fdb2d6f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たこむし | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aromalight2/
作成日時：2017年4月19日 23時
