恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ49)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:134,842 hit

第48話少女の記憶ページ49

-

アマイモンが燐を怒らせ、青い炎を出させようと計画を練る中。

しえみの意思に関係なくアマイモンがしえみを強制的にお嫁さんにしようとしたり、
子猫丸が火をつけた魔除けの花火がアマイモンの角に的中したり、
それを笑った志摩がアマイモンに蹴っ飛ばされ子猫丸は左腕をへし折られたりなどしたが、
アマイモンは自分の思惑通り、燐に降魔剣(クリカラ)を抜かせることに成功した。

刀を抜いたことにより、悪魔の力を解放した燐とアマイモンのバトルが始まる。

「悪魔は常に否定する快楽の求道者であるのに対して、人の営みは中道にして病みやすい。
　さあて、どちらへ進もうか」

燐の青い炎が森林区域の植物に飛び火し広がっていく。
メフィストはそれ(悪魔同士の戦い)を上空で眺めながらそう口にした。

.

空が白み始めた頃、Aはメフィストの部屋にいた。
借りた本を読むのに夢中になり、気づけば日付が変わるどころか朝になる時間になっていたのだ。

『……理事長が帰ってくるまでに客室に戻ろう』

実はA、日付を跨いだ辺りでベリアルに声を掛けられていたのだが熱中しすぎて生返事。
ベリアルもメフィストから特に何か言われていたわけではないのでAにきつく言うこともなく。
いつの間にか夜が明けそうになっていた。

メフィストの部屋を出て廊下を歩いていると視界の端に青い光が写った。
何かのライトかと思い窓の外を見ると、学園最下部の森林区域が一部燃えていた。
Aの見た青色は光ではなく炎だったのだ。

『―――何、あれ』

刹那。
思い出せなかったはずの記憶が、頭の中に溢れ出した。
塞いでいた蓋を押しのけ、泥水のように、記憶が流れてくる。

当時の自分の姿や、知識、悪魔との思い出、何百年分の記憶がいっせいに現われた。

はっきりと思い出そうとあせればあせるほど、つかみどころなくぼやけてゆく記憶の頼りなさ。
もう何十年もそうであったことが嘘のようにAは自分の1度目、そして2度目の人生を思い出した。

夢に毎回出てきたあの男(・・・)の名前もはっきりと思い出した。
懐かしい、なんて言葉では収まりきらない記憶の数々。
1度目も2度目も、同じ悪魔(時の王)を呼び出したという事実。

『サマエル―――』

理事長に感じていた違和感の正体。
あれはサマエルだということに自分の中の本能が気付いていた証拠だ。
頭が覚えていなくとも、心が彼を覚えていた。