恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ46)

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第45話今宵の悪魔ページ46

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夜。空がインクをぶちまけた様に黒く染まる。
月はまだ顔を出さず星も見えないが、雲は浮かんでいる。
メフィストは“時間だ”と言って先程屋敷を出て行ってしまった。

ベリアルは買い物を済ませメフィストとA、２人分の食事を作った後から姿が見えない。
多分、お風呂を入れに行ったか食器を洗いに行ったのだろう。

Aは一人、メフィストの自室であろう真っピンクの部屋にいた。
大きなテレビや沢山のゲームがあり思わず目を奪われそうになったが、
借りていた本を読み切ってしまおうとクッションに腰を落とした。

『それにしても…フィギアとかぬいぐるみとかジャンルがゴチャゴチャ過ぎる』

Aが借りたのは絶版になってしまった小説達であったが、
メフィストの部屋にはゲームだけでなく大量の漫画も置いてあった。

場所は変わり学園森林区域。
その高い木の上に、二人はいた―――メフィストとアマイモンだ。

「兄上ここに来る前、リリスの部屋に行ったのですがリリスがいませんでした」

「Aなら私の屋敷にいる。最近お前がAの寮部屋に顔を出し過ぎるせいで
　地属性の悪魔共があの寮周辺に集まってくる。貴様の眷属だろうどうにかしろ」

「ハイ、すいません。リリスに危険が及ぶなら対処します」

木の頂上でしゃがみながら答えるアマイモン。
メフィストは蝙蝠の様に変化させた傘を使い空中にとどまっている。

「にしてもあの女…ボクたちに気付いている…生意気な」

アマイモンの視線の先には酒を飲むシュラがいた。

「アマイモン。この森の主に挨拶は済ませたか」

「ハイ。同胞を沢山殺されてるので協力的です」

「今回は私も観覧させてもらおう」

木の上に足をつけることなくメフィストは言う。

「…しかし降魔剣(クリカラ)はあの女が隠してしまっているし、どうやって奥村燐をキレさせようかな。
　あの女……邪魔だな」

「やる気満々なのはいいが、今回は私の言う通りに動けよ。地震は起こすな」

アマイモンはメフィストの言葉に何も反応を返さない。
右手の親指をガジガジと噛んでいるせいで指からは赤い血が垂れている。
流れている血を気にも留めず、シュラのいる方向を見つめ続けるアマイモン。

「(チッ…。聞いていないなコイツ)」

蝙蝠に変化した傘を持っていない左手をポケットに突っ込みながらメフィストはそう思った。