恋は盲目、愛は執着【青の祓魔師】 (ページ45)

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第44話夏休み開始ページ45

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雪男は自分の寮へプレゼントを置き、Aが持てない分を運び終えた後、
祓魔師(エクソシスト)の制服に身を包み、正十字中腹駅に向かった。

終業式が終わったら集合予定ではあったが、雪男のクラスのホームルームが早く終わった影響だろう。
駅に一番最初に到着したのは雪男だった。
しばらくしてからシュラ、出雲、勝呂などが順に集まる。

「皆さん、今日から楽しい夏休みですね！―――ですが候補生(エクスワイア)の皆さんはこれから
　〝林間合宿〟と称し…〝学園森林区域〟にて、３日間実践訓練を行います」

雪男はにっこりと良い顔で笑いながらそう言う。

「引率は僕、奥村と霧隠先生が担当します」

「にゃほう」

雪男の説明に合わせ、シュラが左手をぐっぱとあげた。

「夏休み前半は主に塾や合宿を強化し、本格的に実践任務に参加できるかどうか
　細かく皆さんをテストしていきます。この林間合宿もテストを兼ねていますので
　気を引き締めていきましょう」

その言葉に“おしっ”とやる気を出す者や“はい”と返事を返す者
“はーい”と間の抜けた声をあげる者、返事だけでなく反応すら示さない者など様々な返事を行う候補生(エクスワイア)。

燐達が正十字学園最下部に位置する森林区域を登り、テントを設営している。
その同時刻。

『あの、なぜ呼び出されたのでしょうか…』

Aはメフィスト直々にファウスト邸に招待(という名の拉致)を受けた。
Aの手には４日分の着替えや化粧道具が入った旅行用バック。
表情はお察しの通り不機嫌を通り越して少し怒っているようにも見える。

「いやぁ実は私、今夜は用事がありまして。
　夏休みが始まり里帰りする生徒が大半を占めますがAさんは寮でしょう？
　部屋ではなく建物に女性の貴女が一人というのは危険だ―――ということで☆」

“是非ウチに泊って下さい”そう言いながら♡が出てきそうなウインクを飛ばすメフィスト。

『理事長の家にも誰もいないんですよね？危険度変わらないでしょう』

「いえ、私は今夜のみ。ベリアルも今夜の食事に使う材料を買いにでるだけなので
　一時間もかからないでしょう。それに理事長宅に忍び込むほどの馬鹿はいません」

“要するに自分に家の留守番をさせたい”そう捉えたAは二つ返事で了承。
Aはメフィストの奇行に慣れてしまったので断る選択肢はないと少ない経験から察したのだった。